緊急事態宣言を出す際の4月7日の会見で安倍晋三首相は、
「7割から8割削減を目指し、外出自粛をお願いいたします」と話し、
「接触7~8割削減」を見出しにとる報道も見られる。
「6割でも良かった」という誤解も広がっている。
8割減というのは3月の初めから私が主張し続けている数字です。
厚労省の内部でも、「接触を断つことで感染の流行は止まるんですよ」
と話していました。
2月末に北海道で(道独自の)緊急事態宣言がありました。
3月にその評価をしている時に、東京の人も外出する人が減り始めました。
JRの利用率が3割減とか、帝国ホテルの利用率が何%減、という話を聞いて、
「これでは足りないのです」と大臣室で訴えた記憶が鮮明にあります。
「何%減らないといけないの?」と聞かれて、「計算上は明確に8割減なんです」と伝えた時に、
苦笑いされました。
みなさんその当時は、人口全体で行動を止めないと、
流行の制御は難しいということを想定していなかったのです。
そうでない方法で流行対策をしようとしていたので、経済も動いている中で、
8割減をすぐにやるべきだという雰囲気では全くない反応でしたね。
そうは言っても私がやるべきことは、科学的に正しい対策です。
もちろん「社会医学」なので、社会との関わりは考えなくてはいけない。
その中でも、8割減が必要だということは一貫して伝えてきました。
8割が理論的には正しいので、それを目標としてくださいと伝える過程には、
簡単ではないせめぎ合いがありました。
大臣や緊急事態宣言を担当される部署から、「6割はだめですか?」
「それでダメなら7割ではどうですか?」という値切るような聞き方をされました。
‘@値切って6割・7割、真逆だ。
「感染拡大を抑えるために、本当なら100%自粛しなければならないが、
そうすれば経済は回らない。
何とか8割の自粛をお願いしたい」と言うのが本筋だ。
こう言えば見も蓋もないが、8割と言っても今の対応では8割自粛は出来ない。
保証も何もないのだから。
だったら、こういう時にこそ、姑息に7割から8割などと言わず、8割以上と言えば良い。
やっている事がちぐはぐ、頭が薄弱なのだ。