「申請から支給まで2週間」と安倍総理は気勢を上げたが、
申請開始初日にサーバーがダウン。
いまだに支給されないといった給付遅れが相次いでいる、
中小・個人事業者向けの「持続化給付金」。
安倍総理は21日に「何よりもスピードを重視し、入金開始(5月8日)から10日余りで、
40万件を超える中小企業・小規模事業者の皆様に対して5000億円お届けしている」
と息まいたが、5月15日までに「およそ90万件」の申請があったというから、
実際には半分以下にしか届いていないのが実情。
一体これのどこが「スピード感重視」だと首をかしげたくなる。
先日少し書いたが、この「持続化給付金」をめぐって、キナ臭い問題が浮上している。
「持続化給付金」の給付作業を国が業務委託している法人が、
電通とパソナ(竹中平蔵)のトンネル法人だと以前にお伝えした。
「持続化給付金」の事務委託を国から受託した法人は、
「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」。
代表理事は、アジア太平洋マーケティング研究所所長の笠原英一氏。
この法人は2016年に電通とパソナ、トランスコスモスによって設立されており、
経産省は同法人に「持続化給付金」の事務委託を769億円で契約している。
「持続化給付金」は150万件の申請に対応できる見通しといわれており、
事務委託費が769億円ということは、1件あたりの手数料は4〜5万円になる。
この金額の妥当性も問われているが、さらに問題なのは、
この「サービスデザイン推進協議会」の業務実態がないのではということだ。
5月22日に、立憲民主党・川内博史衆院議員は、同法人の問題を、
決算行政監視委員会で取り上げた。
所在地に行ってみたところ、そこは小さなビルの1室で、
ドアにはリモートワーク中だという張り紙が貼ってあるだけで誰もいなかったという。
さらに、川内議員は今回の「持続化給付金」の事務事業が再委託されているはずだとして、
それがどこなのかを質問すると、中小企業庁の那須野太・事業環境部長の答弁は、
「株式会社電通に業務を再委託して本事業を実施しております。
サービスデザイン推進協議会が全体の統括業務、給付金の振り込み業務をおこない、
電通がコールセンターや申請受付業務等の管理、広報等を実施している」
つまり、実際には「持続化給付金」の事務事業は電通が請け負っているというのだ。
しかも、川内議員によると、「持続化給付金」の予算案が組み込まれた、
経産省が事務事業の入札の公募をはじめたのが翌8日。
にもかかわらず、「サービスデザイン推進協議会」が、
「jizokuka-kyufu.jp」というドメインを取得していたのは、
閣議決定の前日、4月6日だったというのである。
川内議員は、同法人が設立された際の定款のPDFファイルのプロパティを確認すると、
その作成者は経産省の情報システム厚生課だったという。
「サービスデザイン推進協議会」は設立されてすぐに経産省から事務委託を受け、
その数は「持続化給付金」を含め14件にものぼるというが、
同法人がその受託した事業のほぼすべてを電通かパソナ、トランスコスモスの、
いずれかに再委託していたのではないかと川内議員は指摘している。
ようするに、電通、パソナ、トランスコスモスという3社が経産省と結託し、
それらの「トンネル法人」として「サービスデザイン推進協議会」が設立された。
「サービスデザイン推進協議会」設立時の代表理事だった、
ユニバーサルデザイン総合研究所所長の赤池学氏は、
「経産省の方から立ち上げの直前に代表理事を受けてもらえないかという話があって、
それで受けた」と証言。
現在、同法人の笠原代表理事も、
「私は電通の友人に頼まれて、インバウンドの研究をやろうと思って入ったんだけど、
何にも活動がないから」「いつも会議は電通さんでやっていましたし、Aさんがキーだから」
と答えている。
新型コロナで打撃を受けている事業者を支援するための給付金制度で、
安倍政府は、749億円という巨額を、実体のない法人を経由させて電通に横流し。
そして、実体のない「サービスデザイン推進協議会」に20億円もの金が渡る。
こんな実情だから、「申請しても支給されない」
「手続きが面倒だ」という声が多くの事業者から上がるのは当たり前。
そして、「これ以上は待てない」と悲鳴があがっているのに、安倍政権はどこ吹く風だ。
安倍政権と電通が新型コロナ対応を食い物にしているという疑惑は、
徹底的な追及が行なわれるべきだ。
いまだ越前屋が横行している日本。
何をやっても遅々として進まない構造が良く分かる。
なぜ、マスコミは取り上げ、追求しないのか。
日本のマスコミはスポンサーの味方で、安倍政権の信者だから。
なぜ、国民は騒がないのか。
不思議な国だ。
森友事件のように、また犠牲者が出ないことを祈る。