固体と液体の両方の性質を示す「液晶」。
表示装置として幅広く使われる同物質の技術を応用し、
青果輸送時に12℃をキープする「適温蓄冷材」をシャープが開発。
この「適温蓄冷材」は、液晶ディスプレイの「液晶」が真冬のスキー場でも個体化せず、
真夏の海岸でも液体化しないようにする技術を応用したもので、
いわば『12℃まで溶けない氷』。
-24℃〜28℃で溶け始める氷の状態で蓄冷することができ、今回使用したものは12℃で溶け、
固体から液体に変化する。その際に周囲の熱を吸収することで、材料のみならず、
周囲の空気や接触している対象物を特定の温度に保持できる。
食品宅配サービスの「パルシステム」が採用し、7月20日の配達分から本格運用を開始。
これまで、食品輸送に用いている蓄冷材は、冷蔵品・青果ともに0℃(融点-1℃〜1℃)で、
青果が直接触れると低温障害により凍結や変色で傷むケースがあった。
このため、蓄冷剤と青果の間に緩衝材を挿入する。
また、融点が12℃と高いため、凍結までの時間を短縮可能。
0℃の蓄冷材では凍結まで18時間かかっていたものを12時間に短縮できるため、
蓄冷材の凍結にかかる電力量を約40%削減できるとパルシステムは試算。
夜間に実施していた青果の仕分け作業を当日の午前中から実施できるようになり、
人手不足の解消や働き方改革にも繋がるという。