新型コロナウイルスの感染拡大防止策として大阪府の吉村洋文知事が、
ポビドンヨードを含むうがい薬の使用を呼びかけたことで波紋が広がっている。
転売の横行や買い占めのほか、医療関係者も入手困難となっている。
府歯科保険医協会は「瞬く間にうがい薬が市場から消え、
歯科医療機関でさえ手に入らなくなっている」と抗議を表明。
6日に抗議文を公表した同協会によると、吉村知事が記者会見した4日午後以降、
歯科医師らから「うがい薬が入手できない」「患者から『うがい薬を処方して』と頼まれた」
といった連絡が数十件寄せられた。
卸業者から「入荷の見通しがたたない」と回答を受けたという。
「知事の不用意な発言は、混乱をもたらし、治療にも支障をきたしている」と訴えた。
明治グループはすでに今年2月ごろからフル生産の状況といい、
すぐに増産できる状況にはないと困惑。
そして、多くの関連製薬会社は、寝耳に水の発表で驚いている。
「イソジン」の国内販売を手掛ける塩野義製薬(大阪)にだけ相談したのか。
だとしたら、利益誘導と受け取られる可能性もある。
イソジンの製造を担うムンディファーマは「増産が可能かどうかを含めて対応を検討している」と説明。
松井市長、吉村知事の言うように増産はそう簡単ではないようだ。
鳥取県の平井伸治知事は5日の会見で「特効薬のように勘違いすることは避けていただきたい」
と県民に冷静な対応を求めた上で、「社会的インパクトのある発言については考慮をいただきたい」
と吉村知事に苦言を呈した。
自民党府議団の原田亮幹事長は6日、府庁で、吉村知事に施策を提言する際、
「府民に混乱を招いた」と批判。水うがいの効果との比較がないことなどに触れ、
「研究途上の成果を発表している。命に関わるので、もっと慎重に発表すべきだ」と進言。
吉村知事からの発言はなかった。
府にも5日だけで電話やメールなど少なくとも450件の苦情や問い合わせが殺到。
「店頭からうがい薬がなくなり混乱している」
「効果がよくわからない段階で使用を呼び掛けるのは時期尚早だ」など、
多くが批判的意見だったという。
高鳥毛敏雄・関西大教授(公衆衛生学)は、「予防できると過信させるのは害になりかねない」
と健康な人も含めて広く使用されることに警鐘を鳴らした。
妊婦や甲状腺疾患がある人の使用にも注意が必要とされ、
さらに「口の中や胃腸には(通常は問題のない)常在菌があり、
そういったバランスを乱してしまう恐れもある」と述べた。
「使い方を間違えると毒にもなる。アレルギーを持っている人も少なくない。
対象をしっかり示して推奨する必要がある。呼びかけは知事の勇み足だと思う」と断じた。
京都大の川村孝名誉教授(疫学)は、「うがいは(ウイルスの)入り口の掃除にすぎず、
有効かどうかは分からない。今後の研究でメリットよりデメリットが大きいとなれば、
逆効果の可能性もある。
十分な効能が約束されていないものを人に伝えるのは危うい」と危機感をあらわにした。
‘@吉村知事の府民への発信の仕方がが間違っており、それが誤解され情報として伝わった。
知事本人も述べているが、できる対策はすべてやるべきとの意見もあるが、
誤解やかえって悪化したりデメリットが大きい対策はやるべきでないのは当たり前のこと。
「とにかくやる」と聞けば、感染が拡大している中、一見よさそうに聞こえるがとても危うい。
打開策がないからと言って、とにかく突っ走ると、多くの犠牲者を出しかねない。
危機の中こそ隊長には冷静な判断が求められる。
隊長の判断が生死を分けるのだ。
「何かがなくなりそうになったら、そうなる前に買い占めろ」という行動は、
自営本能で日本人に限ったことではない。
うがい薬を買わなかった人は、もう当分うがい薬は買えない。
日頃から使用している、本当に必要な人の手に入らなくなるのは本末転倒。
多くの人にはポビドンヨード、イソジンと言ってもピンとこないのだろう。
少なくとも、うがい薬としか。
だから、今回の吉村知事の行為に対してあまり不快感を示さない。
しかし、それを、消毒液などで使用している医療関係にとって、
ポビドンヨードが入手困難になるのは重大な問題となる。
それを首長が煽るのは言語道断だ。
あまりにも吉村知事の知見が低かったのだ。
それを認めて素直に謝罪すればいいのだが、
屁理屈捏ねて絶対に非を認めないのは橋下氏譲りだ。