中国軍は26日軍事演習中に、中国の海南島と領有権が争われている、
南シナ海のパラセル諸島と海南島の海域に中距離弾道ミサイル4発を発射した。
米空母が最近実施した演習海域からあまり離れていない海域だ。
グアムが射程に入ることから「グアムキラー」と呼ばれる「東風26B」
「空母キラー」と呼ばれる「東風21D」を発射したとされる。
東風26は推定4000キロ、東風21Dの射程距離は1500キロメートル超。
中国国防省は27日、軍事演習は特定の国を想定したものではないと説明。
そのうえで、「アメリカの一部の政治家は、大統領選挙の前に自らの利益のため中米関係を破壊し、
軍事衝突をつくろうとたくらんでいる」と非難。
同省の呉謙報道官は、
「一部の米政治家が米中間の対立をあおろうとしているが、中国は『恐れていない』」と語った。
中国が南シナ海に発射したミサイルは、米国への警告だ。
米政府は7月中旬、中国の南シナ海における海洋権益の主張を「違法」と公式に否定。
国際仲裁裁判所の判決を支持し、中国と権益を争うフィリピンやベトナム、
マレーシアを支持する姿勢を明確にした。
南シナ海では米中が7月にそれぞれ軍事演習を展開するなど緊張が高まっている。
領有権は習近平政権にとって譲れない問題だ。米中対立が一段と激しくなるのは避けられない。
トランプ政権は中国共産党への圧力を強めるため、
中国企業の経営に打撃を与える禁輸措置を多用している。
「ファーウェイ」のほか、トランプ大統領は14日、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の、
米国事業を90日以内に売却するよう命じた。
スーパーコンピューターやAIなど多様なハイテク企業を制裁の標的としているが、
インフラ企業も狙うことで中国企業を全面的に抑え込む姿勢が鮮明となっている。
米国は26日、南シナ海における人工島造成に関与する中国の企業と個人に制裁や規制を科すと発表した。
対象となるのは、国営企業24社。建設大手の中国交通建設集団の複数の子会社や、
通信企業、また造船大手の一部門などが含まれるという。
24社は、米商務省の「エンティティー・リスト」に追加された。
これにより、同社に対する米国の商品や資材の輸出が禁止される。
商務省は、これらの企業が「中国による南シナ海で問題となっている、
基地の建設と軍事化を可能にした」と指摘。
ポンペオ長官は、南シナ海での事業に関与する個人に対し、ビザの発給制限も発表。
声明で「中国が南シナ海で威圧的な振る舞いをやめるまで行動を取る」とけん制した。
制裁対象の中国交通建設は中国の広域経済圏構想「一帯一路」でインフラ開発を担う大手企業で、
アジアやアフリカで影響力を強める同構想をけん制する狙いがある。