自民党は9月1日の総務会で、党員投票を伴う「フルスペックな総裁選」ではなく、
党員投票を行わない、両院議員総会で総裁を選出することを決定。
強力に両院議員総会決定反対発言をしていた小泉大臣は、総務会に来場し意見を述べた。
その後の記者会見で、
「残念ながらフルスペックの公選はやらずとなりましたが、フルスペックでやるべきだと、
約150人の国会議員、自民党の地方組織の皆さん約400名がやるべきだと声を上げていただいた。
自民党に多様な声があることが、あらためて証明されたと思います。
これで総裁選にいくわけですから、選ばれた総裁が誰であろうとも、
より多様な党員の声、国民の声、それが反映されるような自民党を作っていくスタートにしたい。
今日はそのスタートだと思います」と笑顔で述べた。
相変わらず小泉議員のガス抜きだ。
「自民党に多様な声があることが、あらためて証明された」とアピール。
何のことはない、両院議員総会を容認したかのような発言だ。
自分の役割が良く分かっている。
だから今、若くして大臣の位置にあり、石破議員を切り捨てた。
自民党青年局長の小林史明議員は、「多くの国会議員、全国の党員の声を反映できなかったのは、
大変申し訳ないと思うし、本当に悔しいですね」 と、非力さを滲ませた。
実は会議後、小林議員、そして署名活動の事務を取り仕切った村井英樹議員らは、
憤りを静めるため、しばらく自民党本部内に留まって今後のことを話し合ったという。
「我々は事前に1週間でできることを確認していました。
しかし今回、正式に説明いただいたら『最低2カ月』だと。2カ月かかるというのは、
選挙人名簿の事務的な手続き、事務処理の話です」
「名簿のデジタル化は、ずっと言ってきたのに。アナログなんですよ」
村井議員も 「残念です。悔しいですよ」と憤りを隠さなかった。
「政治は最終的には権力だ」
「執行部からしたら『権力が無いのにガタガタ言うんじゃないよ。
それなら権力取れよ』ということでしょうね。
政治は権力闘争ですし、そう言われたら、まあそうなので。悔しいですけど」
と、忸怩たる思いを吐露した。
小泉大臣と青年局長らには温度差がある。
しかし、それもフェイクか。
村井議員は「小泉さんにも相談はしますが、大所高所から意見をもらう感じです。
小泉さんは若手の中心ですけど、本件は大臣ということもあり自重している感じがありました」
と述べた。
そして「権力が無いのにガタガタ言うんじゃないよ。それなら権力取れよ」が全てだ。
だとしたら、だれが総理になっても、国民の方に目は向かない。
総務会は党の最高意思決定機関であり、「全会一致」が原則。
岸田政調会長自身、総務会に出席している分けだが、反対しなかったということだ。
全ては二階幹事長の思惑通りの茶番だ。
小泉大臣は河野太郎大臣を支持したが、河野大臣は菅官房長官が出馬するので、
自身の出馬を見送った。
小泉大臣は、前回2018年の総裁選では石破氏を支持したものの、
その意向を表明したのは投票10分前。
「もう少し早く支持表明をしてくれていれば」と、石破陣営は悔しがった。
石破氏への最後のご奉公で、とりあえず支持表明はするが、
安倍総理に影響のないような戦略をとった。
小泉議員が旗色を鮮明にすれば、総裁選の流れは変わったかもしれないが、そうはしなかった。
メディアや国民からは、「どちらにもいい顔をした」「失望した」との批判の声がわき上がった。
こうした批判に対して、小泉議員は、
「今回、率直に言いまして、いろんな情報戦がありました。やはり、この総裁選挙というのは、
政治の世界の戦ですから。私は、武器を持たない戦争みたいなものだと思っています。
その過程の中では、本当に様々なことがあります。だから日々変わるんです。
それに対して、どうやって自分を、生き抜いていけるようにするか。
そういったこともふくめて非常に学びのある総裁選でしたね」と語った。
オヤジに似ている。正直とウソとハッタリ、非情さと強さを持っている。
本人が正直に述べているが、結局は「自分が生き延びていくこと」だけを考えている。
そこで、石破氏が切り捨てられたのだ。
今回はいち早く河野大臣の支持を打ち出したが、
石破議員は人気者の小泉議員に見放されたこととなる。
石破議員を支持していても先が無い。
共同通信社が8月29、30日に実施した、次期首相に「誰がふさわしいか」という世論調査では、
石破元幹事長が34.3%でトップとなり、菅官房長官の14.3%、河野大臣が13.6%、
小泉大臣10.1%、岸田政調会長7.5%。
当時、「総理にしたい政治家No.1」だった小泉氏が今回は4位。
国民は見ている。
そして、国民の思いと国の思いには、広くて深い河がある。