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武田大臣、携帯値下げ「100パーセントやる」

菅総理は18日、武田良太総務大臣と官邸で会い、

携帯電話料金の引き下げに向け指示をした。

武田大臣は会談後、「国民の生活と直結する問題なので、

できるだけ早く結論を出すよう全力で臨んでいきたい」と言及。

そのうえで「1割とかいう程度では改革にならない」として、大幅な引き下げを強調。

今後の値下げ実現の可能性を問われた武田大臣は「100パーセントやる」と断言した。

ちなみに武田大臣は、豪雨被害の最中の7月9日夜、防災大臣の時、

赤坂の焼き鳥屋で記者10人ほどと飲み会をしていた。

9日は熊本県で4人、大分県で1人の死者が確認され、捜索活動の真っ只中。

 

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民間の市場取引に様々な制限を政府が加える異例なことだ。

料金値下げという「大義」があるとはいえ、議論の進め方には異論も出ている。

携帯会社は民間企業であり、自由競争をしているため、

政府が強制力を発揮して値下げさせることは、本来あってはならないはずだ。

そのため、総務省は競争を促進しようと検討会を発足させ、

あらゆる手段を使って、4割値下げを実現させようと躍起になっている。

そして、菅総理になって、何としてでも値下げをさせると公言。

国民は、桜を見る会モリカケ問題よりも、携帯電話の値段が下がればそれで良い。

達成できれば、菅総理の人気も定着し、手腕も賞賛される。

民間企業である携帯電話業界のビジネスを、政府主導で強引に覆すことを進めてしまうことに、

私には大きな疑問が残る。

そもそも、行政が携帯電話の料金引き下げに言及したのは、

いかにも菅総理が口火のようになっており、本人もそれらしく述べているが、

菅総理が初めてではない。

2015年に安倍元総理が携帯電話の料金引き下げを検討するよう指示しており、

それを受ける形で有識者会議「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」が実施された。

この時も、総務省側は強引な姿勢を打ち出し、法改正を受け規制の具体的な内容を定めた。

 

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2019年6月18日の第13回会合で「モバイル市場の競争促進に向けた制度整備」

に関する議論が進められた。

しかし、そこで示された内容は余りにも具体性を欠くものだった。

2年縛りの違約金上限1000円の根拠が、6000人へのアンケート調査による結果から設定されたもので、

論理的な根拠がなく、非常に乏しい内容であったことが批判された。

こうした総務省の姿勢に、第13回会合では、普段は賛同を示すことが多い有識者からさえも、

疑問の声が多数挙がるという異例の事態となった。

この案には携帯電話会社だけでなく、アップルやクアルコムなどからも反対意見が多く寄せられた。

にもかかわらず、総務省は事実上この案をほぼ修正することなく押し通し、

10月の法改正とともに「2年縛りの違約金1000円」「端末値引き2万円」といった規制が現実のものとなった。

とにかく実績を作りたい安倍総理総務省の強引さが垣間見えた。

菅総理は、官房長官時代の18年に、19年10月に楽天が第4のキャリアとして参入するため、

それを契機に値下げ競争が起きるだろうと述べた。

菅総理は、参入する楽天に相当、期待している様子が伺えた。

しかし、それは単なる楽観で終わった。

実際のところ、楽天が参入したからと言って、すぐに料金競争は起らなかった。

むしろ、楽天側にいろいろなトラブルが続出。

この辺りの流れも、菅氏が向きになっている一因だろう。

現状失敗ということだ。

 

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既存のユーザーは値段だけではなく、通信環境も重視する。

この厳しい競争環境の中、他社より4割以上も安くして、さらに全国にネットワークを構築する。

ローミング費用を支払い、ショップ網や、大量CMまで流すことで、楽天は利益が出るのか。

ユーザーは安くなるのは大歓迎だろうが、今でさえも利益が出ずに、

赤字経営のところが少なくないと言われる格安スマホ事業者。

値下げ競争により利幅がさらに減ることは自身の首を絞めかねることになりかねない。

そして、大手キャリアが4割値下げをすれば、格安スマホとの料金差がなくなり、

格安スマホ事業者の事業売却や撤退が出てくるだろう。

そして、これ以上田舎のメンテナンスはやらないと言い出すかもしれない。

そうすれば、また格差が生まれる。

大手携帯会社で働いている私の知り合いも、

「田舎の小さなところまで基地局は作る、維持するの大変、いらない」

と、今でも言っている。

行政側が通信料金の値引きを要求したことで、携帯電話会社も既存事業での、

売上を伸ばすのが難しくなって来る。だから一早く株価は反応して、軒並み下落している。

自由競争に規制がなされ、顧客基盤を活用したビジネスができないとなれば、

上場企業として一体何で売上を伸ばし、成長すればいいのか。

楽天にとっても携帯電話事業はおいしいしいものではなくなるはずだ。

楽天モバイルの立ち上げがうまくいっていない現状、何のために立ち上げたのか。

当初は、菅官房長官の後押しもあり、勇気満々で始めたが、

早々に撤退する可能性もはらんできた。

そうなれば結局は携帯電話業界は大手3社の寡占に逆戻りすることとなる。

もしかしたら、それが目的なのか。

弱いものはとっととツブして、強いものだけが生き残る日本にしたいのが竹中平蔵

その竹中平蔵と早速会した菅総理

悪巧みは尽きないようだが、今回の携帯問題は、「規制ありき」で強引に進める。

規制緩和を掲げる菅総理とむしろ逆行しているのではないか。

市場原理に国が口を出すということは、上に行くにしろ下に行くにしろ規制が働く。

どうしてもやりたいのなら、MVNOなどをしっかり育てるための環境整備を進め、

そのうえで、市場の自由競争をさせるべきではないか。