新型コロナは、急いで進められている研究のおかげで、
当初は原因がわからなかったさまざまな症状を、
明確な疾患として特定できるようになったものもある。
10月2日に発表されたCDC(米国疾病対策センター)による新たな研究は、
ウイルスをもつ成人も、MIS-Cに似た重篤な状態に陥る可能性があることを示した。
報告書では「心血管、胃腸、皮膚、および神経学的症状があり、
重度の呼吸器疾患のない」27人の患者について説明。
この症状をMIS-A(成人多臓器炎症症候群)と呼んでいる。
疑問が解消されつつある一方で、MIS-Cにかかった子どもが、
どのような経過をたどるかについては、まだよくわかっていない。
適切な治療を受ければほとんどの子どもが回復するものの、長期的な影響はわかっていない。
新型コロナに感染した米国の子どもは74万人以上におよぶ。
幸いなことに、その大半は比較的症状が軽く、また感染した子どもの16〜45%は無症状とも言われる。
一方で、21歳未満の子どもたちは、「小児多臓器炎症症候群(MIS-C)」と呼ばれる重篤な疾患を発症することがある。
MIS-Cはまれな病気ではあるものの、数時間のうちに重度の炎症に発展し、ときには命に関わることもある。
CDCは9月に、21歳未満のコロナウイルスによる死亡例を分析し、その大半がMIS-Cによると報告した。
これまでに米国で確認されたMIS-Cの症例は1097件で、死亡例は20件にのぼる。
MIS-Cは発症が極めて急速で症状が重いため、患者の70%が集中治療室に入ることになる。
また複数の研究によると、無症状感染後に発症する場合もあるという。
自分の子どもが新型コロナにかかっていることを知らないうちに、MIS-Cを発症することもある。
また幾つかの研究では、新型コロナは、気管からいなくなった後でも、
消化器系で複製を続けることがわかっている。
特に子どもの場合はその傾向が顕著だ。
データは、ウイルスが便の中に最大1カ月潜んでいることも示していると、
香港中文大学医学院腸内細菌叢研究所のシュウ・ウン氏は言う。
米国でMIS-Cによって死亡した子ども20人のうち、45%がヒスパニック、29%が黒人、4%がアメリカ先住民だった。
モレイラ氏の分析とCDCのMIS-Cに関する報告書のどちらもが、
大人の新型コロナ感染者と同じく、子どもにおいても明らかに人種間で差があることを示している。
疾患の長期化は、黒人、先住民、有色人種でより多くみられる可能性がある。
アジアと欧米での間で、理由はまだ明らかではないが、死亡率は確実に違う。