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「無限Go To Eat」は飲食業を救うのか。

飲食店情報サイト大手「ぐるなび」の創業者で取締役会長滝久雄氏が文化功労章受章。

 

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新型コロナで、飲食店などを支援する目的で実施されている「Go To Eatキャンペーン」。

しかし、本当に困っている飲食店のためになっていないと、飲食業界が異を唱えている。

オンライン飲食予約事業は10月1日に始まった。

付与されるポイントはランチで500円分、ディナーで1000円分。

しかし、オンライン予約をして来店するだけでこのポイントがもらえるため、

制度の抜け穴をみつけポイントを稼ぐ人たちが現れた。

物議を醸した、「トリキ錬金術」は、焼き鳥居酒屋チェーンの「鳥貴族」で、

ディナーをオンラインで予約して、税込327円の1品だけを注文して、

ポイントとの差額を稼ぐことが問題となった。

 

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事業を管轄する農林水産省は、当初「想定済み」と、開き直りの見解を示していたが、

10月8日になって予約サイト事業者に対し、ポイントを下回る飲食ができないよう求めた。

国民の税金を使うのだから、事前に把握していたのなら改善するべきだった。、

参加したある店でも、予約して来店した客が600円程度の注文で帰るケースが多発。

ディナーの場合、客には1000円分のポイントとの差額400円が手に入る。

一方、店としては席が埋まったとしても客単価は上がらない。

回転寿司チェーン大手のくら寿司が、10月19日からオンライン飲食予約事業に参加した。

予約サイトを通じて2人以上でオンライン予約をすることが条件で、

ディナーの場合、2人で2000円以上の飲食をすれば2000円分のポイントが付く。

この2000ポイントを使って、オンライン予約をしたうえで2000円以上の食事をすると、

また2000円分のポイントが付くことになり、「無限くら寿司」と呼ばれる。

利用者は1人あたり1000円分の飲食をずっと無料でできることとなる。

 

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この無限ループには、同じ回転寿司チェーン大手のかっぱ寿司も10月30日から参戦。

かっぱ寿司は1人の予約でも利用が可能だ。

農林水産省は「問題ない」との見解を示しており、

今後も「無限Go To Eat」を利用できる店舗は増えていく。

しかし、飲食店の多くはオンライン予約サイトに登録しているわけではなく、

メリットを、すべての飲食店と消費者が得られるものにはなっていない。

都市圏に比べて、特に地方の飲食店ではオンライン予約サイト自体があまり浸透していない。

オンライン予約サイトに登録している飲食店が「3割」程度の県庁所在地もある。

「Go Toキャンペーン」は令和2年度補正予算で総額が1兆6794億円にのぼる。

当初は経済産業省が一括して扱う方針だったが、

民間事業者への運営委託費が3095億円にのぼることに批判を浴び、

トラベルは国土交通相に、Eatは農林水産省に分割された。

飲食店にとっては多くのサイトで送客手数料を取られ、ディナーだと約200円を払わなければならない。

集客効果はあるが、結局、通常なら払わなくてもいい手数料を払うことになり、

飲食店にとって利益は薄く、予約サイト事業者が利を得るシステムとなっている。

そして、PCやスマホを使いこなせる、ごく一部の人だけがポイントを稼ぐことができる。

「Go To Eat」には多額の税金が注ぎ込まれているが、確実に利益を得られるのは予約サイトだけだ。

飲食店にとって有意義な事業なのか、多くの専門家が疑問を呈している。

 

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大手予約サイト「ぐるなび」の創業者で取締役会長滝久雄氏が「文化功労章」受章。