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分科会、やっと「強い対策を」政府に提言、でも遅し。

政府は20日新型コロナウイルス対策分科会(会長・尾身茂地)を開催した。

分科会はこれまで、政府側の意向を踏まえ、経済活動にブレーキをかける提言に躊躇していた。

しかし、現在の状況を踏まえ、多くの専門家は「第3波」の勢いに危機感を抱いている。

国立感染症研究所の鈴木基・感染症疫学センター長は、

「今の流行はクラスターをたたいても追いつかない。飲み会は避けてほしい。

長距離の移動も制限する必要がある。第2波のときよりも強い対策をとるべきだ」と提言していた。

日本医師会中川俊男会長は18日の会見で、新型コロナ感染拡大は、

政府の旅行支援策「Go To トラベル」が「きっかけになったことは間違いない」との見解を示した。

「中高年の割合が増えている」と懸念を表明。「コロナ慣れしないでください。甘く見ないでください」

今週末の3連休は「秋の我慢の3連休としてください」と訴えた。

 

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(こういったことは報道されない)

東京都医師会の尾崎治夫会長は「Go Toトラベルについて、

国には中断するという決断をしていただきたい。

医療サイドから一度止めたほうがいい」と呼びかけ、

21日からの3連休については「身近な人以外とはなるべく会わない」と訴えた。

分科会は、感染が急速に拡大していることに対しやっと重い腰を上げた。

酒類を提供する飲食店の営業時間の短縮

・地域をまたぐ移動の自粛

・Go Toキャンペーン事業の運用見直しなど、これまでよりも強い措置を講ずるよう提言した。

分科会後記者会見した尾身会長は、

経済専門のメンバーからも「この考えはいいし、やるべき時期に来ている。

このまま放っておくと最終的には経済的にもコストが高くなるということを、

もう少し強調したら(どうか)という意見は出た」と述べた。

尾身会長は、提言を出すにあたって「われわれは非常に悩んだ」と前置きしたうえで、

「もともとステージの3相当になったら普通の行動、人々の努力だけでは、

感染拡大(を食い止めること)は難しい。

もう少し強い(措置をとってほしい)ということは前から言ってきた」と弁解した。

そのうえで、「いまの状況を何とか下火に打開するためには、

日本の社会を構成する人々が同じ方向に向かない(とならない)。

政府が新型コロナへの注意を促していながら、片一方でGo Toキャンペーンをやるということは、

人が動くことだ。これを続けてしまうとメッセージの一貫性がなくなってしまう、

という心理的な側面がある」と、矛盾をやっと理解したかのように話した。

感染を拡大させたのは、いまだ認めない国の責任が大きい。

密にならないでと言いながら、密になる政策を推進する政府。

7月、8月に感染者数が増加したいわゆる「第2波」の時に「感染を下火にさせた1つの要素は、

営業時間の短縮だった」と振り返り、「短縮ということは人の動きが減るということ。

そういうことが一般的な感染対策の理論。われわれ自身も実際に経験してきた。

そういう経験・知見と、今回は、整合性がとれて、それを基にやっている。

われわれがムードでやりたいということではない、と言いたい」と語った。

分かっているのなら、なぜ、もっと早く政府に強く提言しなかったのか。

国民に訴えなかったのか。そうすれば感染拡大を抑えられていたかもしれない。

いまだ、「Go Toと感染拡大は関係ない」と述べる専門家やコメンテーターもいるが、

尾身会長も、「人の動きを減らすことが感染対策の理論」と、当たり前のことを認めている。

そして、「我々はムードで言っているのではなく、

経験・知見・整合性を基にやるべきだと言っているのだ」と強調している。

 

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(新型コロナ関連の医療現場に3連休はない)

 

しかし、提言の中に、国民に蔓延する「気の緩み」は制御できない状況となり、

政府や専門家はリスクコミュニケーションに苦慮。

「これまでの警告メッセージが人々に十分伝わっていない」との文言も記されている。

「ふざけるな!」

政府が国民の気が緩む政策をしておいて、国民に責任を擦り付けるなど言語道断だ。

そこまでして、自分たちの不策を弁護したいのか。

多くの国民は真摯に対応している。

「行動でそこまで広がるのではなく、現地での飲食で広がる」と、政府の政策を擁護し、

訳知り顔で述べるコメンテーターもいるが、飲食するために動くのだ。一体なのだ。

そして、動けばウイルスが広がるのは疫学の常識。

クーポンを配っているのはどこだ。

だとすれば、旅行に行ってもホテル・旅館で4人以下で食事するように要請すべきだ。

こういうデタラメを垂れ流す番組こそ感染拡大に加担している。

そして、こんな状態でGo Toキャンペーンをやっても効果は半減だ。

メンバーの平井伸治鳥取県知事は、厳しい内容となったことに対し、

「非常に残念なことだ。苦渋の選択を分科会としても述べざるを得なくなった」と述べた。

何が非常に残念なのか。残念なのは国民だ。政府と専門家の間で散々振り回され、

政府が数日前に述べたことと真逆の対応をしなくてはいけなくなる。

苦渋の選択ではなく、もっと早くやるべきだったのだ。

早くやればやるほど傷は浅くて済む。

 

『その場しのぎと偽善に陥り 自ら魂の空白状態へ落ち込んでゆくのをみている』