田舎の元外科医。
COVID-19では感染対策に求められる強度がインフルよりもかなり高い。
このため使える病床が限定され医療従事者も集中的に投入する必要がある。
その理由は、現時点でもCOVID-19の致死率はインフルより一桁高く、
感染力がある程度強くて広がりやすくかつある程度重症化しやすいから。
エアロゾル発生の機会が多く高齢者や免疫不全患者が多い病院では、
院内感染対策としてN95等のPPEを必要とする。
また一旦重症化してしまうとインフルよりも呼吸器装着期間が長くなる。
インフルであれば診療所や療養型病院を含めて分散して対応されるが、
COVID-19では地域の中核病院の負担は格段に大きい。
重症化する年齢層がCOVID-19の方が若い。
インフルによる死亡者は、もっぱら老衰など積極的治療を望まれないことが多い。
一方、COVID-19では、現役として働く元気な70代のおじいさんが、
いきなり重症化して気管挿管になっていく。
つまり、インフルでICUは少ないが、COVID-19では多くなる。
上記したように、COVID-19診療ではインフルより多くの人手を要し、
さらに多くの空間を必要とするため、COVID-19専用病床を設けるためには、
かなりの一般病床の削減が必要になる。その為、通常医療への負荷が大きくなる。
新型コロナ専用病床を確保すれば、その分通常医療が制限されることは、
繰り返し周知して欲しいですね。コロナ診療には空間と多くの人手がかかりますから、
転換した病床の2倍を超える通常病棟の縮小が同時に行われると思います。
COVID-19対応のため、一般病床を削減し、ICU不足で予定手術を削減すると、
病院の収支が大きく悪化し、新規のスタッフ雇用も困難となり、
提供可能な通常医療がさらに減少する悪循環となる。
例えば50床の一般病床を、コロナ専用病床に転換するとき、
個室やベッド間を確保するため40床程度に減床し、
中等症から重症を受け入れるのであれば、さらにスタッフを集約させるために、
他の病床を30床休床して人員をそちらに回す。
この場合40床の専用病床のために80床の一般病床が減ります。
@いままで、インフルでは高齢者が見殺しにされてきたのだ。
そしてそれで良しとしてきた。
今回で明らかになったように、対応(マスク・手洗いなどの徹底)していれば、
インフル感染者も大きく減少する。