‘@もうすでに、医療崩壊は始まっている。政府は目を背けるな!
北海道旭川市で11月以降、新型コロナクラスターの発生が相次ぎ、
感染拡大が医療現場に深刻な影響をもたらしている。
1日も感染者の増加は止まらず、吉田病院で7人増の計162人、
旭川厚生病院は新型コロナ感染者も受け入れていた道北の基幹病院だが、
外来診療が原則休止に追い込まれ、地域医療にも影響が出ている。
同病院は12月1日午後4時現在で計171人の感染が確認されたと独自に発表した。
吉田病院、これまでの経緯。
防護資材・設備に制約のある当院にとっては、
独力での対応が困難であることが当初より明らかであったため、
関係機関と協議・調整を図りつつ、これまで対応を進めて参りました。
その過程において、様々な不条理や疑問を感じるところもございましたので、
その概略についてここに明らかにしておきたいと思います。
1.旭川市保健所について
吉田病院においては、11月6日(金)にコロナ陽性患者が発見され、
同日直ちに保健所に報告して協議に入り、その方針指示に全て従う形で全力で対応してまいりました。
とりわけ、感染患者の処置を行いつつ通常の医療・看護業務を行うことは極めて困難であるため、
感染者の他病院への転院調整、について保健所に強く要請を続けてまいりましたが、
結果的にそれはかなわず、多くの患者が院内にとどめ置かれることとなり、
クラスターの拡大を招く結果となりました。
転院調整が遅々として進まなかった理由はいったい何であったのか?
また、その中にあって指示された感染対策は、それぞれ適切なものだったのでしょうか?
2.旭川市役所について
コロナウイルスの感染ならびに風評被害によって勤務困難となった医療従事者が多数発生し、
「医療崩壊」とも言うべき状況となってしまったことから、旭川市に対してはこれを「災害」と認定して、
自衛隊看護師の派遣、感染予防具の供給、等を道に依頼して欲しいとの要請を行いました。
しかしながら西川市長からは「公共性」「非代替性」を満たさないとの理由から即座に却下され、
ここでも対応が遅れる事態となり、その後の更なる感染拡大を招く事態となりました。
地域住民の健康と生命が脅かされている今般の事態において、
クラスター拡大を抑えることが「公共性」を欠いていると判断した理由は何だったのでしょう?
また、「代替」する解決方法として具体的にどのような手段をお考えだったのでしょう?
前述の転院調整が進まなかった理由のひとつに、
同院は「地域医療の最後の砦」であることを理由にあげていますが、
この建前を言葉通りに受け取るわけにはまいりません。なぜなら、クラスター発生と同時に、
それまで当院に派遣していた非常勤医を、自院都合でいっせいに引き上げるという措置をとったからです。
感染と風評被害によって、ただでさえスタッフが急減に不足している医療現場において、
そのような非道な措置をとることは、すなわち「医療崩壊」の引き金を自ら引くことに他なりません。
「地域医療の最期の砦」において、このような信じがたい意思決定がなされた理由はどういったものだったのでしょうか?
現在はDMAT(災害派遣医療チーム)の派遣をいただき、事態は徐々に沈静に向かっていますが、
ここにいたる労苦を思う時、上記の疑問は拭いされないものがあります。
引き続き、クラスターの収束に向け精進してまいりますので、皆様ご支援のほど、お願い申し上げます。
2020年12月1日
医療法人社団慶友会
理事長 吉田良子
‘@未収束のクラスター感染者数(12月1日時点)
発生場所 感染者数
吉田病院(旭川市) 162人
札幌田中病院(札幌市) 145人
障害者支援施設(北広島市) 116人
高等学校(札幌市、11月25日公表) 64人
医療機関(札幌市、11月24日公表) 44人
手稲渓仁会病院(札幌市) 39人
北海道では救急患者が15カ所たらい回しも。
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は、
「先日も1型糖尿病の人が足が壊死してきて、かかりつけの病院に行ったら、
コロナで病床が空いていないと言われたそうです。医療機関への負荷は確実に増えています。
医療崩壊を防ぐという点でも検査拡充が重要なのです。
コロナの疑いが消えないからと、救急車で病院をたらい回しにされることもなくなります」