大会組織委員会の森会長(83)による発言の中で、
「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる。
ラグビー協会、今までの倍かかる」
稲沢特命教授「私のことだ」
2013年、女性で初めて理事に就いた稲沢裕子・昭和女子大特命教授(62)は、
森会長の発言を聞いた時、「私のことだ」と思ったという。
「森さんが日本ラグビー協会の会長だった時、女性の理事は私だけ。
協会初の女性理事だっただけでなく、競技経験のない素人としても初めての理事でした。
私の発言や疑問は、当時会長だった森さんに限らず、唐突で驚かれるような内容も多かったと思いますし、
私が入ったことできっと会議は長引いたでしょう。
でも逆に言うと、私は素人の立場から疑問や意見を言うために、ラグビー協会の理事になりました。
理事に就任したのは、レスリングが五輪種目から外されそうになったり、
柔道界でのパワハラが大きな問題になったりした頃でした。
背景には、競技団体の役員に女性がほとんどいないことが原因のひとつだという、
スポーツ界の大きな反省がありました。
読売新聞で女性問題を長年取材し、女性向けサイト「大手小町」の編集長を務めるなど、
女性の本音とずっと向き合ってきたことから、声がかかりました。
『ラグビーのことは何も知らないのにいいんですか』と確認しました。
当時の専務理事は『ラグビー人気が低迷する中、
ラグビーをまだ見たことのない人にファンになってもらわなければ』と。
当時会長だった森さんも同じ考えだと思っていたし、
迷惑に思っていらっしゃるとは思っていなかったので、今回の発言は驚きました」と、
驚きと共に困惑を示唆した。
その上で、「森さんの発言に対して、笑いが起きたと報じられました。
私も笑う側でした。
男女雇用機会均等法以前に社会に出た世代。
男社会の中で女性は自分一人だけという場が多く、笑うしか選択肢がなかった。
笑いを笑いで受け流していた。でも声をあげないといけなかった」
と、反省の弁と共に今回声を上げた思いを述べた。