日本維新の関係者が深く関わっている。
愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を巡る不正署名事件で、
リコール活動団体の事務局幹部だった山田豪(52)・常滑元市議が、
中日新聞の取材に不正への関与を認めた。
名古屋市内で同一筆跡とみられる大量の署名簿に自ら指印を押したと証言。
不正を指示した人物として山田元市議が名指ししたのは、
リコール運動の実務者トップで日本維新の会の田中孝博事務局長元愛知県議。
リコール活動団体の事務局関係者が不正への関与を認めたのは初めて。
「あいちトリエンナーレ2019」開催に日本維新の会代表の松井一郎市長は、
企画展「表現の不自由展・その後」を激しく非難。
実行委員会会長の大村秀章知事に対し抗議の声を上げた。
愛知維新の会(日本維新の会愛知県支部)の役員である山田豪市議は、
同代表の杉本和巳衆議院議員らとともに実行委員会事務局を訪れ、
「即刻の展示中止」を求める文書を提出。8月25日、大村知事リコール運動の署名活動が開始される。
山田元市議と伊藤直市議は解職請求代表者37人に名を連ね、
各地でリコール運動を積極的に展開していた。
リコール活動で、高須克弥院長が、およそ1200万円を活動団体に貸していた。
関係者によると、活動団体は、愛知県の大村知事に対するリコールにおよそ6000万円を使用。
佐賀県で行われた署名書き写しのアルバイトにおよそ1500万円かかっているが、
団体はクラウドファンディングなどでおよそ4800万円を集め、
最終的に1200万円足りず、高須院長から1200万円を借りて補ったという。
高須院長は、「今回貸したお金は、リコールの会を運営するため、
広告費や人件費や家賃を払ったり、仕入れや何かをしたときに赤字が出た分を貸してあげただけ」と説明した。
山田元市議によると、昨年10月29日午後7時ごろ、名古屋市内の公共施設で、
田中事務局長は椅子に座ると、おもむろに五本の指に赤いインクを付け、
「ミスター、こうやってやるんだ」と、手本を見せるように次々と署名簿に指印を押していった。
「同一筆跡の大量の署名簿に自ら指印を押した」と明らかにした。
田中事務局長は山田氏のことを「ミスター」と呼んでいたという。
田中事務局長の指示で昨年10月末〜11月上旬まで作業をしていた。
山田元市議は15日、一連の問題の責任を取って議員辞職した。
地方自治法違反(署名偽造)の疑いで捜査している愛知県警から任意で事情聴取を受けている。
山田元市議は、田中事務局長らとともに運動の中心的な役割を担い、
活動方針の決定に関わったり、街頭演説で署名を呼び掛けたりしていた。
山田元市議は「偽造署名に深く関与したことを自覚し、反省している。
私自身がやったことを全て世間にさらして、真相究明に向き合いたい。
県民のリコール活動を台無しにしてしまい、深くおわび申し上げたい」と謝罪した。