震災では危機感を共有できるが、新型コロナは温度差がかなりある。
大阪府で新型コロナの重症患者が急増し、医療の提供体制が極めて厳しい状況となる中、
病院は「現場は災害レベルの状況だ」と訴える。
重症患者の治療を行っている病院の一つ、東大阪市にある府立中河内救命救急センターの、
山村仁所長は現在の状況について、「患者の受け入れ要請の電話は鳴りやまず、
救急の受け入れを断らざるをえない状況になっている」と危機感を募らせる。
山村所長は「新型コロナの患者が自宅待機中に呼吸状態が悪くなったという症例を20件くらい断った。
自宅やホテルで療養している患者の症状が悪化し、救急車で搬送されるケースが増えていると指摘。
また、山村所長は「医療現場は、東日本大震災や阪神・淡路大震災のときと同じくらいのレベルになっている。
一方、震災では街の雰囲気と病院の雰囲気が一致し、危機感が共有できるが、
(いまは)医療現場の危機感と街なかの風景はかなり温度差があると感じる」と述べ、
医療現場はすでに災害のときと同じような状況になっているとして、警鐘を鳴らす。
そのうえで「災害のときも通常の医療はできないが、
もう、そういう形では、できていないというのが、この数日の医療現場の状況だ。
ある程度、治療の選択肢を選んでいかないといけない」と悔やんだ。