大阪の医療従事者語る医療崩壊の現実。
WEB女性自身。
大阪暁明館病院事務長の西岡崇浩さんは、大阪の医療崩壊を訴える。
「私どもの病院には現在、12人の新型コロナウイルス感染者が入院しています。
そのうち3人が、重症患者です。
さらに残り9人のうち3人も、症状は重症といっても差し支えないレベル。
つまり、実質的には6人もの重症患者を抱えていることになります。
しかし、うちはもともと軽症と中等症の患者を受け入れている病院。
本来、人工呼吸器などの“重症患者向けの医療行為”を行うことは想定していないんです。
念のために人工呼吸器を購入していたことでなんとか対応できてはいますが、それも限界。
すでに新規入院患者の受け入れは不可能な状態に陥っています」と悲痛に訴える。
すでに一部の重症患者向け病院からは「80代以上は受け入れを拒否している」という声も。
さらに重症病床使用率が100%を超えた結果、軽症や中等症向けの病院で、
重症化した患者が転院できなくなっている。
一部では「たとえ悪化しても人工呼吸器をつけない」という条件つきで、
ようやく入院できた例も報じられていたが、西岡さんのもとにも連日のように受入れ連絡が殺到していた
「先日も『軽症・中等症です』といって運ばれてきたのに、実はすでに重症だったというケースがありました。
搬送先がぜんぜん見つからなかったのかもしれませんが、うちのような病院に重症患者を運ばれると本当に困ります。
正直、『だまされた!』という思いが強いです。
今は夜勤を看護師3人態勢でやっていますが、これをほかの病院の人に言うと、
『重症者が複数いるのに、あまりにも少なすぎる!』と驚かれます。
つまり、それだけむちゃな状況ということです。現場はみな、疲弊しています。
もしこのまま放っておけば、入院患者がさらに重症化してしまう可能性もあります。
一刻も早く、今いる重症患者の方々を適切な場所へ転院させたいのですが……」
しかし、重症病床への転院は“80人待ち”ともいわれている。
西岡さんも、実際にその壁に直面したという。
「うちで入院中に重症化した患者さんも、転院するまでには時間がかかりました。
なかには5日や1週間ほどかかってしまったケースもありました。
ほかの軽症・中等症の病院でも同じように、重症患者を転院させられずに困っているところはあるでしょうね。
みんな慣れない人工呼吸器での治療を始めたものの、『これからいったいどうすればいいんだ』と頭を抱えていると思います。
本来、入転院などをコントロールする『フォローアップセンター』もすでにパンク状態。
うまく機能していません。
そんななかでどんどん重症患者さんの入院要望件数が増え続けると、
嫌でも“優先順位”をつけざるをえなくなってくるのではないでしょうか……」