送信日は4月19日。
府によると、メールを送ったのは府健康医療部の医療監(次長級)。
健康医療部は保健所からの依頼で入院先を調整する「入院フォローアップセンター」を所管し、
医療監は医師の資格を持つ医療系技術職の責任者になる。
メールは公用アドレスから送られ、送信先は府と政令市、
中核市が設置する府内の全18保健所の所長だった。
件名に「入院調整依頼に関するお願い」とあり、
文面で「当面の方針として、少ない病床を有効に利用するためにも、
年齢の高い方については入院の優先順位を下げざるを得ない」と記していた。
加えて、心停止などの場合に蘇生措置拒否(DNAR)の意思を示している、
高齢者施設の入所者について、
「(施設での)看取みとりも含めて対応をご検討いただきたい」と記載していた。
府によると現在、65歳以上の感染者については無症状、軽症でなければ、
原則、入院させる方針を設けている。
蘇生拒否の意思を示している患者も治療の可能性があれば入院の措置を取っている。
29日に府健康医療部は「(文面は)完全な過ちで、府の方針とは全く異なる」と釈明。
各保健所に内容の撤回と、謝罪する旨を連絡した。
「施設での対応力を上げてもらいたいという趣旨だった。誤解を招く文面で深く反省している」と話した。
問題のメールについて藤井睦子・府健康医療部長は、
「府の方針を通知する場合、医療監ではなく部長名で送られる」とし、
「高齢を理由に入院の優先順位を下げるなどの対応は一切ない」と話した。
29日に医療監を厳重注意し、メールの撤回・謝罪の連絡をしたという。
しかし、吉村知事は11月19日に、重症者の病床確保について、
「大阪全体での救急病床のトリアージをしていく」と宣言。
11月21日に生出演した『ウェークアップ!ぷらす』で、
司会の辛坊治郎氏が、「政治家としては絶対に言えないことを聞きますけど、
本当に極限状態になったときは年齢その他で何かを区切るみたいなことはありえると考えています?」
と尋ねると、吉村知事は、「僕はご家族の同意というのは必要と思いますが、そういった判断、
これは押さえなきゃいけないんですけども、
一定の本当にもう超高齢であったりご家族の同意が得られるような場合については、
人工呼吸とかそういうのじゃなくて、これはもう若い人にそれをバトンタッチするというような判断、
というのが必要になってくることがあるかもしれない」と答えている。
大阪ではすでに事実上の「命の選別」がおこなわれている。
22日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』では、基礎疾患のある60代男性が、
自宅療養中に容態が悪化した際、府の保健所から、入院の条件として、
「人工呼吸器の対応はできないことを了承すること」を求められたという事例が報じられている。
また、府内で新型コロナ重症患者の受入れ先になっている病院の看護師が、
「いよいよ、“80歳以上の患者さんは受け入れない”という決定が下されました。
高齢者施設でクラスターが起こったとしても、『うちに入れることはもう諦めてください』
とお断りしているんです」と証言した。