「五輪の映像を見て勇気づけられる状況にない」
「医療は限界 五輪やめて!」コロナ重症患者受け入れ病院、窓に掲げられた現場の悲鳴。
健全な精神と肉体を高め合い、世界を1つにするという五輪精神は素晴らしい。
しかし世界中が生死を思う未曽有の体験の中、インドのように多くの国で医療環境が整わず、
ワクチンも分配されない。失業や貧困も広がった。救われるのはお金がある人だけ。
五輪精神と真逆の事実が進行し、五輪の映像を見て勇気づけられる状況にありません。
2013年の招致決定当初、「世界一お金がかからない五輪」や「復興五輪」といった発言を信じようとした。
これだけ政府が断言するのだからと。17年には大会の公式イベントの演出を引き受けた。
しかし大会経費は倍以上に膨れ上がり、福島第一原発事故の後処理も進まない、
全て誘致のための架空のものだった。
悲惨な現実を見て「何ということに加担してしまったんだ」と罪悪感にさいなまれました。
昨年の安倍晋三・前首相の「完全な形での開催」発言以降、コロナ対策の遅れ、水際対策の甘さ、
ワクチン供給の遅々とした流れ…。国民はどれだけ不安を耐え忍んできたか。
私が出演したテレビ番組では「自分はこの状況で走っていいのか」と苦悩する聖火ランナーが報じられた。
IOCや政府の利己的な考えは、「他人のことを思う」という利他的な精神と正反対。
コロナ禍で舞台芸術も大きな打撃を受けた。
想像を絶するひどい状態です。しかしこれはホテル、飲食など、
世界中のあらゆる職業にも言えること。私は諦めず他業者といろいろな方法を探っています。
経済格差、人種差別、魔女狩りのような悪人探し…。人間の傲慢さ、愚かさを浮き彫りにした。
でも反対に、人がお互いに分かりあおうとする連帯も生まれた。
過去にペストなどの感染症や災害が起きるたびに人類は変化や進化を迫られた。
コロナで人はどう変わるのか、期待して見守っていきます。
意見を、言葉を持ち、世界の現実を直視して他者を思える国であってほしい。
香港や台湾、ミャンマー、チベット、ウイグルの問題で、各国の顔色ばかりうかがって明言しないのは歯がゆい。
五輪でも「ノー」と言って、将来「あの時の判断で世界が救われた」と言われる国になってほしい。
東京新聞抜粋、(聞き手・臼井康兆、原田遼)。
ドイツでは、
「日本人は政府に世論を無視されていてかわいそう」
「ドイツだったら大規模なデモが起きている」
「政府に踊らされる日本人。日本人じゃなくてよかった」などの意見が。
ドイツのオクトーバーフェスト、2年連続中止。