レース後の取材エリア。彼女の声はかすかに震え、上ずっていた。
「私自身も人生をかけて取り組んでいますし、遊びではないというところだけは分かっていただけたら」
5月11日に東京・国立競技場であった陸上の東京パラリンピックのテスト大会。
女子短距離代表の辻沙絵(26)=日体大助教=は、
開催の可否で揺れる東京大会について問われると、そう答えた。
ネット上では「自分たちだけが必死にやっているみたいなアピールはやめた方がいい」などと、
否定的なコメントが並んだ。
競技関係者によると、今回の陸上テスト大会では、辻選手以外にも、
若手選手の「パラリンピックを開催してほしい」というコメントがニュースに載ると、
「無神経だ」と憤る意見が寄せられたという。
アスリートの中でも、五輪開催、賛成・反対、意見が分かれている。
「パラアスリートには批判的な意見への耐性がない選手が多い」
そう懸念する関係者もいれば、「競技発展のためには批判を受け止めることも必要」との声もある。
‘@ほんの一瞬目を離したすきに子供が事故にあうこともある。
誰も責めることはできないが、責める人間はいる。
それを誰も止めることはできない。
意見を発信すれば、賛同する人もいれば、反論する人もいる。
今の世の中、SNSなどで誰でも簡単に発信できる。
ネットでの誹謗中傷で人が死んで、罪に問われても誹謗中傷は後を絶たない。
理不尽な反応をする人間は無くならない。
それは自覚するしかない。
それを覚悟するしかない。
ただ、それは犯罪だと訴えることも止めてはならない。
愚かな行為だと言い続けなくてはいけない。
アスリートは性格的にも、強く発信しがちだが、
守るためには、発信しないことを選ぶことも一考だ。