4都県での東京五輪の無観客開催が決まって一夜明けた。
7月9日、東京五輪組織委員会はパートナー企業向けに非公開のオンライン会議が開かれた。
会議で組織委幹部は「この3週間で感染状況が悪くなるとは想定していなかった」と発言。
緊急事態宣言が出た場合の対処を準備していなかったことを明かした。
組織委は、無観客開催の対応を想定していなかったため、
チケットの払い戻し手続きさえ決まっておらず、
企業側からの相次ぐ質問にほとんど答えられない状態だったという。
組織委の古宮正章・副事務総長が、無観客開催について、
「コロナの状況はほぼ一向に改善しないまま、今日に至ることになりました。
正直申し上げて、我々最後の最後まで頑張ってみたんですが追い込まれて、ここに至りました」と言及。
その上で、「パートナーさんにはチケットの問題が出てくることになります。
本日のところは残念ながら、今後必要な措置の中身を整えておりません」と言い放った。
そして、電通出身の坂牧政彦マーケティング局長は、
「この3週間で逆に感染状況が悪くなるという、想定をしていなかった結果になってしまいました。
そのことにより12日から緊急事態宣言ということになったこともあって、
昨日大部分の無観客を決定した次第でございます」と述べ、
「日本でなければとっくの昔に中止している」と恩着せがましく、パートナー企業に語った。
後、バッハ会長の広島訪問についてパートナーから、
「バッハ会長含むIOC側に何かご意見をいわれているのか、いわれていないのか、
この緊急事態宣言下を踏まえてお話しされていることがあれば、共有いただけると幸いです。
オリンピック自体の世の中の見え方というものを、あまり不安定な方に、
これ以上持っていくという要因の一つになってしまうと思います」との見解を求めた。
この質問には古宮副事務総長が答えた。
「バッハさん等の広島等の訪問について何か、公式に組織委員会で出していることはないと思います。
今回のことについて組織委員会として何か、見解を持っているとか、
意見として申し上げていることはありません」と回答。
バッハ会長の広島訪問は政府マターだ。
さらに、電通出身の坂牧政彦マーケティング局長は、
「我々はこの大会をきちんとやりきるということを世界に約束して、
この厳しい中でも一年半頑張ってきたということだと思っています」
「日本でなければ、とっくのむかしに中止になっていたと思いますし、
世界中も誰もできると思っていなかったと思います。
そんな中ですね、皆様方とこの大会が実現できるところまで来ています。
やはりここでやめるのはもったいないです」と、オリ・パラありきを強調。
最後に古宮正章・副事務総長が、
これまで組織委はじめ五輪関係者が口にしてきた「レガシーを残す」という言葉について。
「実態がなかなかわからないまま言っていたところもある」としまがら、
「今こういう状況になった時に何を残せるのかは、我々の使命だと思う」と、
レガシーが何かは分からないが、開催は使命だと断言。
森前会長がいれば言えない言葉を述べた。
「なぜ今、無観客といい始めるのか。驚愕している。釈然としない」
パートナー企業は、
「五輪が1年延長したとき組織委は、観客制限はせず『フルスタジアム』で開催するといっていた。
昨年3月の時点で専門家はコロナの収束には2、3年はかかるといっていた。
組織委員会とパートナー企業で越えなければならない共通の壁は、世論だ。
中止すべきだという世論を逆転させる必要がある」と、スポンサーも無観客を批判し、何が何でも開催を強調した。
しかし、別の担当者は、
「パートナー企業は、力を入れてオリンピックキャンペーンを準備してきた。
それを最も熱を入れて展開する大会直前期にもかかわらず、その機会を失っている。
今の世論の状況を踏まえると、宣伝活動をすることは逆にマイナスイメージになりかねないからだ。
プロモーションの最大の機会を失って損害を被り続けているパートナー企業は、
『いい加減にしてくれ』と声を出すべきだ。
コロナより五輪を優先する日本を、国民は自分の国でも信じられなくなるわ、
海外からも日本はバカじゃないのかと思われるわ、最悪の状況だ。
五輪をやるといい続けている菅政権、それを止められない野党を含めての、
政治家の罪は本当に大きいと思う」と、怒りをぶちまけた。
その上でこの担当者は「五輪は中止するべきだ」と吐露した。
‘@組織委は有観客の開催しか頭になかったようだ。
それは、政府とも共有されていたが、政府には危機意識があったが、
組織委には全くと言っていいほど、危機感はなかったようだ。
そして、電通の魔物が垣間見える。