中央最低賃金審議会の小委員会で14日、最低賃金の大幅な引き上げが示されたことに対し、
中小企業からは悲鳴があがった。
コロナ禍の影響がより大きい中小には、人件費の増大で経営体力を奪われるとの懸念が強く、
今後雇用を抑制する動きが加速しかねない。
和食チェーンを展開する企業の幹部は頭を抱える。
パートなどの非正規雇用が7割超を占め、人件費の大幅な上昇は避けられないという。
「お酒の販売は重要な収益源。それを悪のようにいわれ、来店人数も制限されるなか、
さらに賃金を上げろという。なぜ、今なのかという思いだ」と、憤りを滲ませた。
海外勢との激しい競争にさらされる製造業は、
「コロナ禍で国内景気が悪化し、海外輸出でも中国企業との競争で利益が上がらない。
この状況で賃上げなど一体何を考えているんだ」と憤懣やるかたない思いを吐露した。
飲食店を営む代表は「人件費が上がるなら、パートの勤務を減らして正社員で回すしかない」と話す。
逆に、雇用圧迫の懸念も高まる。
りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は、
「企業の売り上げも利益もコロナ禍前の水準に戻っていないのに、
賃金だけを上昇させるのは非常に違和感がある」と疑問を呈する。