任期満了に伴う横浜市長選(8月8日告示、22日投開票)を巡り、
現職の林文子市長(75)が15日、市役所で会見し、4選に向けて無所属で出馬すると正式に表明。
カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致と新型コロナウイルス対策の推進を軸に市政継続を訴えた。
IR誘致を「経済活性化の一つの核」と位置付け、ギャンブル依存症対策の法制化など対策を講じることで
「ラスベガスではベビーカーとともにスロットマシンを楽しむ風景がある。
家族で楽しめる観光都市を実現していく」と強調。
ベガスは飛行機を降りて到着ロビーを歩くといきなりスロットマシンがお出迎えだから、
ベビーカーでスロットもあながちウソでもない。
ベガス全体が家族連れを歓迎する街だから、子供もたくさん来ているが、
カジノでベビーカーを押しながらギャンブルする人は見かけない。
「IRを白紙に戻す」と公言した林市長の手口だ。
賛成の声が強い中「IRを白紙に戻す」と言えば、反対と表明したと思う市民が多かったが、
白紙に戻すということは、賛成でも反対でもない、一から見直すということだから、ウソではない。
その後、話市長はIR推進を公言、市民は林市長に裏切られたと憤った。
「あなたたちの勘違いですよ」という、うまいやり方だ。
過去にもそうやって、いろんな地位に上り詰めた。
裏切られた部下も多数いる。
年齢や健康問題を不安視する声に対しては「全くもって元気。健康に気をつけており心配ない。
絶対にコロナを収束させなければならない中、私の経験が役に立つ」とアピール。
3期を目安とする市の多選自粛条例との関連については「『努力してください』という条例。
これは時と場合による」との認識を示した。
進退の判断に時間がかかったのはコロナ対策や東京五輪の開催準備に注力していたためとし、
地元経済界から出馬要請を受けた14日夜に「私が4期目に貢献できると強く意識させられた」と、
決断理由を明かした。
同市長選に立候補の意向を示したのは9人目。
同市長選には、元国家公安委員長の小此木八郎氏(56)=衆院3区、
自民党、立憲民主党が推薦する元横浜市立大教授の山中竹春氏(48)、
水産仲卸業社長の坪倉良和氏(70)、弁護士の郷原信郎氏(66)、
元長野県知事で作家の田中康夫氏(65)らが立候補の意向を表明している。
また元神奈川県知事で参院議員の松沢成文氏(63)も出馬準備を進めているというが、
どうだろう。ここまで候補者が乱立すると出馬するうまみも無いような気がする。
漁夫の利を得る人は出るのか。
ややこしや、ややこしや。
閣僚(自民党)がIR反対で出馬。自民党はIR推進派の山中氏を公認。
IR推進派の現市長林氏も無所属で出馬を表明。
2009年の横浜市長選で民主党(当時)の推薦を受け初当選。
13年は自民、公明、民主党の推薦を受けて再選し、17年は自民、公明党の推薦を得て3選した。
同じ推進派で自民が推薦する候補と前自民推薦候補の現市長。
閣僚を辞職しての市長選出馬は極めて異例のこと。
菅総理(神奈川2区)の最側近でありながら、菅総理が首目指すIRの横浜誘致に反対を表明。
小此木氏は「IR自体は賛成だが、横浜では信頼が得られず、環境が整っていない」
と反対の理由を説明した。
私は、林市長同様、環境が整えば賛成という流れだと思っていたが、見当違いか。
しかも、国家公安委員長は目前に迫る東京オイ・パラ警備の最高指揮官でもある。
同氏は現在、自民党神奈川県連会長でもある。
菅首相と真理子夫人は、小此木氏と家族同然の付き合いを続けてきた。
小此木氏は2020年9月の自民党総裁選で菅陣営の選挙対策本部長を務め、
「その論功行賞で入閣した」とされている。
小此木氏は無派閥だが、神奈川県選出の河野太郎大臣や小泉進次郎大臣とともに、
「神奈川三郎」と呼ばれる。
その小此木氏が、菅総理を裏切っての出馬は何を意味するのか。
ようほどのことがあったのか。
今回の小此木氏出馬の裏には、「ハマのドン」として有名な
IR誘致反対の急先鋒である藤木幸夫・藤木企業会長は、
通商産業大臣、建設大臣を歴任した故小此木彦三郎氏の盟友で、三男の八郎氏ともツーカーの仲だ。
藤木会長は菅総理の最大の支援者だったが、IR誘致をめぐって関係が悪化している。
「ハマのドン」は命を懸けてIR誘致を阻止すると意気込む。
久々に「波止場」シリーズの匂いがする。