新型コロナ禍で仕事や住まいを失った人、それを助ける人にとって、東京五輪は「遠い世界」だ。
東京五輪開会式翌日の24日の夜、東京都豊島区の公園では、
困窮者を支援するNPO法人「TENOHASI」が行った食料配布に、400人近くが列を作った。
同法人によると、派遣切りなどが相次いだリーマン・ショック後の2009年に次ぐ人数だった。
「勤めていた飲食店は閉まりました。新しいバイト先も見つかりにくいです」。
「都内の新規感染者が2000人に近い日もあり、五輪は必要ない。
政府は他にすべきことがあると思います」
居場所がない人にホテルを提供する都の事業を利用していた男性は、
4度目の緊急事態宣言が発令された12日に期限を迎え、退室させられたという。
五輪について問われると「そういえば、そろそろかなと思っていました。
自分とは遠い話題で、関心はないですね」とつぶやいた。
認定NPO法人「世界の医療団」(港区)も、
住まいがないといった理由でワクチン接種券を受け取れない人らの実態調査をしている。
五輪については「都内で開かれている実感は湧きません。仕事を失う人がたくさんいる中、
それどころじゃないという心境です」と話し、アンケートやワクチン接種に関するチラシ配布に追われていた。