アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)で行われた研究によれば、
マウスの体から切り取った、ガン細胞のDNAをボロボロにして、再び腫瘍に戻したところ、
免疫療法の治療効果が大幅に上昇したという。
DNAがボロボロになったガン細胞は、救助を求める信号を発し、免疫細胞は腫瘍全体を攻撃することになる。
免疫療法は完全ではなく、ガンの種類により5%~30%にしか効果が見られなかった。
そこで、MITの研究者たちは、がんになったマウスから腫瘍の一部を取り出して、
化学薬品で「ボロボロ」にし、改めてマウスの腫瘍に戻すという方法を、免疫療法と組み合わせた。
健康な細胞は大きく損傷すると、免疫システムに対して自らの消滅を求める信号を発信。
回復の見込みのない細胞は、免疫細胞に殺されようとする。
ガン細胞にもこの破壊を求める仕組みが残っていた場合、免疫細胞に消滅信号を認識させることで、
ガン治療に役立つ可能性があるのではないか。
研究者たちは、マウスから摘出した腫瘍に対して、化学薬品をふりかけて「ボロボロ半」にした後、
マウスの体内に戻して免疫療法の有効性を試した。
結果、ボロボロにした場合に、もっとも免疫療法の効果があがることが判明。
結果、40%で腫瘍が完全に消滅するという結果が得らた。
黒色腫と乳がんに対しても効果を発揮。
黒色腫と乳がんになっていたマウスの40%において、腫瘍が完全に消滅させることに成功。
今回の研究により、DNAを損傷させたガン細胞を腫瘍に移植することで、
免疫療法の成功率が劇的に上がることが示された。
ガン化した細胞にも介錯誘引システムが残っており、腫瘍に移植されることで、
腫瘍全体を免疫細胞の攻撃ターゲットにできることが証明された。
また追加の実験で、ボロボロにしたガン細胞をマウス体内の腫瘍本体に戻すだけでは、
治療効果がないことも判明。
免疫療法によって免疫力が増加された状態でなければ、ボロボロにされたがん細胞が発する、
「介錯」を求める信号を、免疫細胞が感知できなかったようだ。
さらに、研究者が数ヶ月後にガンが完治したマウスに、ガン細胞を注射したとき、
マウスの免疫細胞は侵入してきたガン細胞を認識し、新しい腫瘍を形成する前に破壊することも判明。
上手くいけば、免疫療法の有効率を劇的に向上させ、がんの完治や予防につながる、
画期的な発明になる可能性がある。