作家で僧侶の瀬戸内寂聴が9日、心不全で亡くなった。99歳。
2015年に安倍政権が憲法違反の安保法制を強行成立させた際は、
胆のうがんを患うなど満身創痍の体調だったが、たびたび集会やデモに参加。
産経ニュースは、国会前で「すぐ後ろに軍靴の音が聞こえる」と命がけで訴えた寂聴さんを揶揄し、
〈聴こえるはずのない音におびえる?「幻聴人」〉などとバカにした。
そのため、ネトウヨからもたびたび「ババアは死ね!」「戦争反対というなら中国に言え!」
などと卑劣な攻撃を受けた。
しかし、寂聴さんはまったく怯むことはなく、安倍政権と安保法制について、
「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥です」
「安倍晋三首相と、与党議員たちが強行採決した安保法案は、日本国民を世界中で死なせ、
家族を不幸にし、国まで滅ぼすものだと思います」と痛烈に批判。
寂聴さんは自身の戦争体験について、
「私は初めて戦争のむごさを、身をもって思いしらされた。
北京から着の身着のまま子どもだけかかえて帰国してみれば、故郷の徳島の町はまる焼けになっていて、
母は防空壕で焼け死んでいた。防空壕では母だけでなく祖父も亡くなっていた。
そして終戦の日には、日本人は皆殺しにされるだろうと、その夜は一睡もできなかった。
夫の家も焼けて姑は義兄の住む愛媛に移っていた。
焼け跡に父と姉で手造りで建てた家がぽつんとあった。
私たちは親子三人そこへ居候するしかなかった。
知人の家でもさまざまな苦難に耐えていた」と語っている。
「安倍晋三首相と、与党議員たちが強行採決した安保法案は、日本国民を世界中で死なせ、
家族を不幸にし、国まで滅ぼすものだと思います。
これだけ国民に反対されていることを自覚しながら、"戦争法案"を押し通した安倍首相の神経は理解しがたいですね。
多くの国民が安保法案に反対したという事実、そして安倍首相と政府与党が、
どれだけ横暴なことをしたのかという事実は、歴史に刻まれます」
体験として戦争を語ることのできる人がどんどん減っている。
政治家も、戦争体験のない政治家たちばかりになっている。
安倍晋三のような総理が出来上がったのも、共鳴する人間が増えたのも、
国民が戦争の恐ろしさを共有できなくなっているという状況が根底にあるとしたら、とても恐ろしいことだ。
それを受け継いでいる岸田総理の動向は。
(合掌)