「GDP比1000%でも大丈夫です」
アベノミクスを推奨して、後にアベノミクスは失敗だったと認めた、
元内閣官房参与・浜田宏一氏がバラマキ合戦批判に反論。
現役の財務事務次官である矢野さんが「このままでは国家財政は破綻する」という論文を発表したことは、
立派だったと思います。
決定が下れば命令に服することを前提に、「勇気をもって意見具申せよ」という、
後藤田正晴さんの遺訓通り、あるべき国家財政のありようについて堂々と思うところを述べられた。
霞が関全体に、ことなかれ主義の風潮がある中で、行政官のトップが自らの立場を踏まえながら、
官僚や国民にどう持論を発すべきか、を示したことは、議論のよい出発点になりえます。
ただし、論じられた内容についていえば、ほぼ100%、私は賛成できません。
矢野さんは「わが国の財政赤字は過去最悪、どの先進国よりも劣悪」という現状認識に立って、
「将来必ず財政が破綻するか、大きな負担が国民にのしかか」ると警告し、
与野党によるバラマキ合戦を諫める。
そして日本の財政を氷山に向かって突進するタイタニック号に喩え、
近い将来、国家財政は破綻すると警告する。
自民党政調会長の高市早苗氏が「馬鹿げた話」と批判したそうですが、もっともな指摘です。
こうして話題になったことは、財務省に考えを改めてもらうよい機会ですから、
私からは「3つの誤り」を指摘しておきたいと思います。
「日本は世界最悪の財政赤字国である」という認識は事実ではありません。
国際通貨基金(IMF)が公表した2018年の財政モニター・レポートは、
実物資産を考慮して各国政府がどれだけ金持ちなのか、を試算しています。
これによれば日本政府は十分な資産を持っているため、わずかに純債務国ではあるが、
大債務国のポルトガル、英国、オーストラリア、米国よりも相対的に債務は少ない。
試算に誤差はありえますが、「どの先進国よりも劣悪」という矢野氏の主張とは印象がだいぶ違います。
「コロナ対策を名目とする財政出動策について、矢野氏は
『実際に最終消費や投資に回されなければ(略)GDPギャップは一向に埋まらない』と記しています。
コロナ対策を名目とする財政出動策について、矢野氏は
「昨年春に10万円の特別定額給付金を配ったのに、データの上では、
低所得者層を含めた全階層の家計で貯蓄が増えてしまった」
つまり、使われず貯め込まれただけだというわけです。
旅行や飲食に制限があり、お金を使おうにも使えなかった面を考慮する必要はありますが、
お金が回るようにするには、昨年のやり方では中途半端で、
もっと大胆にお金を配るべきだったのだと、私は考えています。
この先、無制限に債務残高を増やせばどうなるか、ご心配な方もいるでしょう。
例えば、国の借金のGDP比256%が1000%になったらどうなるか。
私は大丈夫だと思います。まだ国債を買ってくれる人はいるでしょう。
ただし、もう1桁上げて10000%が大丈夫かと言われれば、それは難しい。
それは国債を買ってくれる人がもういないからです」
「自国通貨を発行している政府は破産しない。政府は必要に応じて貨幣発行すれば、
債務超過は解消できる」と論じる。
‘@だとすれば、れいわの山本代表が提唱するように、消費税ゼロにして、
国民の購買意欲を旺盛にして、高度成長期のように、ガンガン買い替えて回していけば良い。
高市政調会長は他人事のように述べるが、その割には政府の支援は安倍政権の時からケチケチだ。
本当にそんな余裕があるのなら、米国並みに財政支出を打ち出すべきだ。