ガの幼虫の恵み、フルーティーな虫糞茶に 京大院生が普及目指す
京都大農学研究科修士課程2年の丸岡毅さん(25)は、
葉を食べるガの幼虫の糞(ふん)を活用した「虫糞茶(ちゅうふんちゃ)」の普及を目指す。
原料となる植物や糞を生産する虫の種類によって茶の味や香りが一変するため、
これまでに40通りの組み合わせで茶を試飲し、成分を分析してきた。
「桜やリンゴ葉はフルーティーな香り。健康茶の側面もあり、製造に熱処理が不要で環境にも優しい」と、
商品化に向けて日夜、研究を続けている。
虫糞茶は中国の一部地域で伝統的に飲まれており、
ガの幼虫に特定の茶葉を食べさせた糞茶は珍重されている。
丸岡さんは、より香りと味の良い独自の茶を目指し、各地でさまざまな虫や植物を採取。
ナミアゲハやオオトビモンシャチホコなど20種の虫と、トウモロコシやミカンなど17種の植物を用意し、
それぞれの幼虫に葉を食べさせて、最高の組み合わせを探ってきた。
幼虫が葉を食べ消化する過程で、うまみや善玉菌が増えると考えられている。
基本的にカフェインを含まない、ノンカフェインの茶になる。
丸岡さんは「虫や糞のお茶と聞くと『気持ち悪い』と敬遠されそうだが、
経口摂取による人体への毒成分検出の報告がない植物や昆虫を使っており、
虫は葉だけ食べているので糞も汚くない」と強調。
「SDGsの理念にもかない、植物と虫の組み合わせ次第で可能性は無限だ。
多くの人に一度試してもらいたい」と夢を膨らませる。
丸岡さんは、商品化に協力してくれる企業を探しているという。