在日米軍が新型コロナの出国前検査を免除していた問題をめぐり、
米軍と日本の外務省の認識に齟齬が生じている。
米軍は昨年9月の免除を外務省に伝えたと主張。
外務省は昨年12月に把握したと説明。
林芳正外務大臣は、日米間の食い違いに、
「今後はそうした状況が生じないよう、より一層緊密に連携していく」と述べた。
在日米軍は昨年9月、米国内でワクチン接種が進んだことなどを理由に、
日本の基地に向けて米国から出国する前の検査を免除した。
その後、沖縄県などの米軍基地や周辺で感染が拡大。
外務省は昨年12月24日、米軍の検査状況を確認したところ出国前検査が免除されていたことを発表。
外務省は国会審議などでも同じ説明をしてきた。
ところが今月2日、米軍が「日本側に情報を提供してきた」と回答したことが報じられた。
これを受け、外務省は米軍に対し、日本側に通知していたという認識は誤りだと申し入れたという。
林大臣は4日の会見で、米軍から3日に回答があり、
「在日米軍として新型コロナ対策に関して日本側と緊密に連携をするなか、
出国前検査の免除についても外務省に通知していたとの認識である」との説明があったことを明らかにした。
日本側は、通知があったとの認識はなかったことを改めて伝えたという。
林大臣は会見で「両者の認識に齟齬があった」と認め、「真摯(しんし)に受け止めている」と述べた。
その上で、緊密に連携していくとした。
日米地位協定に基づき、在日米軍関係者は日本入国時の検疫が対象外となっている。
1日には在日米軍が実施している抗原検査が日本の検査方法と異なっていることも判明している。
立憲民主党の泉健太代表は4日の記者会見で「(日米の認識に)こんなに差が出るというのはあり得ない」
と批判。地位協定の改定を求めた。
これに対し、政府は「見直しは考えていない」(林大臣)との立場を崩していない。
外務省幹部は「日米協定の運用の問題。今回も改善すればいい」と話す。
‘@そもそもが、在日米軍関係者は日本入国時の検疫が対象外となっている。
米側にすれば、日本に通達する義務はない。
日本側からすれば対象外なのだから、確認する義務はない。
双方に義務が無い中での出来事。齟齬が生じるのは当たり前だ。
「お互いのせいにしてお茶を濁そう」という考えは一致したのかも知れない。