アサリ偽装のツケは大きい。
近所のスーパーからアサリが消える。
大量の輸入アサリが「熊本県産」と偽装されて流通していた疑惑が明らかになった後、
熊本市南区の川口漁協が出荷したハマグリも大量に返品されていた。
川口漁協によると、県外の商社に3日、ハマグリ2030キロを販売価格約300万円で出荷。
5日になって、商社から「熊本産を理由に買い手がつかない。どうにかできないか」と連絡があった。
川口漁協は引き取らざるを得なくなり、返品された1930キロは6日、有明海にまき戻した。
川口漁協は12日からの漁も見合わせた。
川口漁協の福島勉参事は「有明海のハマグリは在来種のニホンハマグリで、正真正銘の熊本産。
見た目で区別できるのに、風評被害は残念」と肩を落とした。
県漁連会長も務める川口漁協の藤森隆美組合長も、
「今後の入札もどうなるか分からない」と危機感をあらわにしたが、自業自得でもある。
県水産振興課によると、疑惑発覚後、県産魚介類の返品が確認されたのは初めて。
一方、上天草市の天草漁協上天草総合支所が県外に出荷している有明海産のシバエビなども、
2月に入ってから取引価格が下落したり、出荷量が減少したりしている。
上天草総合支所によると、関西に出荷するシバエビはこの時季、
例年であれば1キロ当たり700円程度で取引されるが、今は500円程度に低迷。
市場からは「出荷量も半分程度にしてほしい」と伝えられた。
タチウオの出荷も現在は関西向けを控え、県内中心にとどめている。
漁業関係者は、アサリの産地偽装疑惑を受けた風評被害とみている。
‘@風評被害と言えば風評被害になるのだろうが、長年偽装を見過ごしてきたツケが回ってきた。
偽装を当たり前のように行い、見逃してきた罪は大きい。
業界の自浄作用を機能させなかったことを猛省すべきだ。