鋭い!‘@
ぼのぼの
@masato009
今日の新聞に『ドライブ・マイ・カー』が歴史的快挙を果たした背景がいろいろ書かれていたが、
濱口竜介自身のインタビューまで含め、皆が忘れている重大な要素が1つある。
それはあの作品が「チェーホフの『ワーニャおじさん』をベースにした作品」であるという事実だ。
メディアは「村上春樹 原作」という点に囚われ、村上文学の国際的普遍性が…と書き立てているが、
普遍性で言えば、すでに古典の仲間入りしているチェーホフの方が桁違いに上だ。
映画業界人が選ぶ賞である以上、チェーホフの『ワーニャおじさん』は、
選者にとって常識レベルの素養であるはずだ。
つまり少なからぬ選者にとって、本作は「『ワーニャおじさん』の極めて優れた翻案」と映り、
それが外国語映画としてのハンディを埋めたのだと考えられる。ヘタをすれば脚色賞ノミネートも、
村上春樹ではなく、「チェーホフ『ワーニャおじさん』からの脚色」と捉えた上でのノミネートではなかろうか。
濱口竜介の前にアカデミー賞監督賞候補となっている黒澤明も、対象作品は『乱』、
すなわちシェイクスピア『リア王』の翻案劇だった。
「日本語というハンディを埋めたのは、チェーホフ、シェイクスピアという、演劇的古典の素養だった」…
この点を決して見逃すべきではない。