産経「野党、立憲潰し」一報。
「立民、孤立回避へ共闘模索 維新や国民と新国対会合」
産経新聞がこの記事を配信したのは、2月14日月曜日夜半のこと。
たちまちTwitterをはじめとするSNSは、いわゆる「野党共闘」を支持する人々からの「約束違反だ!」
「共産党を排除するとは何事だ!」との声で溢れかえることとなる。
翌朝になって立憲民主党は対応に動き出す。
立憲民主党の泉健太代表はツイッターに、
「この件について、我が党の国会対応に問題があったことから、
今朝、幹事長と国対委員長に是正を指示いたしました。
立憲民主党は、国会で野党各党を代表して与党側と交渉する立場として、共産党を除外することも、
維新と組むことも、考えておりません。」と投稿し、党の姿勢を明らかにしている。
しかし今度は、その姿勢が「朝令暮改」と揶揄されることとなった。
だがここで気になることがある。
騒動の発端から締め括りまで、全て、事態は産経新聞の報道に従って推移したという点だ。
産経新聞の「書き振り」の特殊さも気に掛かる。
読売新聞、NHK、朝日新聞なども、産経新聞に追随する形で本件を報道しているが、
どの社も軒並み「共産党との協議は別途、継続する」と併記している一方、
ただ産経一社だけが「共産党が排除された」ことを前面に出す書き振りになっている。
さらには、産経新聞のみが、立憲・維新・国民・有志による国対の協議体を「共闘」という言葉を使って、
表現している点も特異と言えるだろう。
産経の記事からは、どうしても、今回模索された立憲・維新・国民・有志による、
「国対情報交換のための協議体」が、
あたかも「共産党と手切した、新しい共闘の形」であるかのように読めてしまうのだ。
しかし実態はそうではなかった。
あくまでも、立憲民主党の国対が目指したものは国会対策のための新たな協議体を、
”追加でさらに作る”だけのことでしかなかった。
共産党との協議や、れいわ・社民党の他野党との協議体を解消するなどということは、
立憲民主党の側の意図にはなかった。
平たく言えば、「有志の会から、国対情報交換の協議体を新たに作ってくれとの申し入れがあった。
その新たな協議体に維新と国民が参加する。
共産党との協議はこれまで通り、別途、維持していく」というだけのこと。
現に、共産党の小池書記局長も「国会で政党間で情報交換をすることはありうることだ」と述べ、
「立憲が、国会対策のために維新と協議する」ことに理解を示しているではないか。
問題は、産経の記事が、あたかも「これまでの野党共闘は解散。
新たにできる国対協議体が、これからの野党共闘」と受け止められかねない内容であった点に尽きる。
つまり今回の騒動は、見ようによっては、「産経新聞が野党分断の意図を持って記事を書き、
その記事に、こともあろうに野党の政治家と支持者が乗せられ、憤慨し、
まんまと産経新聞の意図通り、分断されていく」という旧民主党時代から繰り返される、
”いつものパターン”の一種でしかないのだ。
だが、誰よりも責められるべきなのは、立憲民主党の馬淵澄夫国対委員長だろう。
予算審議が実質的に終わる今になって、ようやく行っているというタイミングの問題だ。
予算さえ通ってしまえば、政府・与党にとってもはや通常国会は実質的に終了。
この後の国会日程は、いわば、消化試合のようなものに過ぎない。
そのようなタイミングになって、野党第一党の国対委員長が、
「野党各会派との国会対策の新たな枠組みを作る」などと口走っているのだ。遅きに失しているのだ。
これまで一体何をしてきたのか。端的に言って職務怠慢であり、
その職務怠慢ぶりはもはや異常とさえ言えよう。
たったこれだけのことが、メディアに素直に伝わらず、誤解が誤解を生み、大きな騒動になってしまった。
つまり、馬淵氏率いる今の立憲民主党国対委員会は、
メディアとまともに話することさえ出来ていないのである。
こう考えると、答えは一つしかない。
立憲民主党は可及的速やかに、馬淵澄夫氏を更迭すべきである。
そうでなければ、馬淵氏の職務怠慢とスケジュール管理の甘さと国会日程へのセンスのなさから、
党の内外に、取り返しのつかない災禍が繰り返し生まれるに違いない。
<文・湯山四郎>参照。