アサリ、ワカメ、ウナギ…相次ぐ国産偽装の主犯は業者でなく「安いニッポン」
(ノンフィクションライター 窪田順生)
よく産地偽装のニュースになると、その業界の構造的な問題が指摘され、
「闇が深い」などと評される。
しかし、最も闇が深いのは、国内生産者たちが置かれた厳しい現実を直視せず、
「お客様は神様だろ」と言わんばかりに、「安い国産を食べさせろ」と叫び続ける、
我々消費者の身勝手さなのではないか。
東京大学の渡辺努教授がアンケートを行ったところ、米国や英国などの消費者は値上がりをしていても、
やむなしと受け止め、高くなった商品を買うという答えが多かった。
しかし、日本人は多くが、その店で買うのをやめて、別な店を探すという回答が多かったという。
つまり、日本の流通が、メーカーや生産者に対して「値上げするな」と無言の圧力をかけているのは、
世界でもトップレベルで「安さ」に執着して、「国産品」に強いこだわりをもつ日本の消費者を敵に回さないためだ。
流通や小売りにしても生き残るためには、生産者や卸業者に「安い国産」を求めていくしかないのである。
歴史をさかのぼれば、産地偽装というのは戦前から確認されている。
しかし、この20年ほど、産地偽装がたて続けに起こっている時代はない。
確かに、昔と比べたらチェック機能が格段に向上しているということもあるが、
筆者には消費者が「安さ」をこれまで以上に強く求めるようになった、
「安いニッポン」の弊害もあるのではないか、と考えている。
‘@貧しいから盗人をして良いという話にはならない。
多くの商品が外国産を占める「業務用スーパー」は大人気だ。
わたしはメーカーなどの固定観念が強すぎるような気がする。
曲がった野菜は売れないと言うが、そんなことは無かった。
少し安く売れば、飛ぶように売れる。魚も同様だ。
今まで捨てていたので農家は喜んでいる。
工夫次第では売れるものを、華から敬遠している。
ショウガやニンニクは大方のスーパーで中国産と国産の両方を販売している。
中国産が無ければ日本はやっていけない。
あさりも、加工品のほとんどは中国産だが売れている。
牛丼もマックのポテトも。
焼き鳥などは、ほとんどが外国産だ。
特色を出したい、稼ぎたいという思いから、間違った方向で産地偽装をする。
そして、高く売って稼いでいる。
そういう意味では、熊本産あさりは良心的なのかも知れない。
そもそも、そんなことを言い出したら外食など出来なくなる。
わたしは人間性と時代背景が大きく寄与していると思う。
良いものを作る、売るというプライドと誇りを持っていた時代から、金さえ儲かればいいという時代へのシフト。
米国でも安売り店は人気があり、セール時期は大混雑する。
「ブランド」は、どこの国でも一目置かれ人気がある。
ブランドを求め信用して購入するのは日本だけではない。
米国でも偽装は多発している。
米国で売られる魚介類の2割にラベル偽装の疑いがあるという。そして、それは 高価な魚ほど顕著だと。 ..
そして、江戸時代にも産地偽装はあった。
江戸時代は意外とブランド時代だった。
蕎麦粉なども「戸隠蕎麦」と名がついていても産地が中野ということがわりとあった。
日本酒などもそうだ。
いまと違ってメディアなどで偽装情報が流れることもないから、かなりの偽装品が出回っていた可能性がある。
フグは和歌山などでとれたフグを山口に持って行って下関産になる。
徳島などでとれたハモが京都に行き京都産となる。
そんなことが普通にまかり通っている。