5月26日の国会で小野寺五典議員は「我が国の防衛費は横ばいだが、中国などは増やしている。
装備調達は高騰しており以前と同じ予算では手当できない」と防衛費の増額を訴えた。
小野寺議員は(P-3CからP-1になって)哨戒機の調達単価は2.6倍と述べた。
また空自のF-2が共食い整備を余儀なくされていると説明。
しかし、これは海自が自ら高コスト哨戒機を選んだ結果だ。
海幕は機体、エンジン、ミッションシステムすべてを国産化にこだわった。
採用当時の石破茂防衛庁長官は、この高コスト哨戒機に断固反対したが、
海幕に強硬に押し切られたという経緯がある。
第二次安倍内閣の防衛大臣時代にはオスプレイの導入を決定している。
オスプレイが陸自に17機配備されるが、その調達費用3,600億円は、
おおむね陸自のヘリ調達予算の10〜12年分だ。
1機当たりの整備費は年間約10億円といわれており、17機ならば170億円だ。
対して陸自のヘリの整備予算は年間220億円程度にすぎない。
オスプレイが揃えばその3分の2を食うことになる。
そうなればただでさえ不足している維持整備費は逼迫を免れない。
実際に既に陸自のヘリの整備費や訓練費用は減っている。
その責任はオスプレイの導入を決定した小野寺議員そのものだ。
防衛費が横ばいで、高額化する新装備の調達が困難になるのはどこの国の軍でも直面している。
他国では、陸軍の人員を大幅に削減する、不要になった装備を退役させる、
基地を統合して不要な基地を閉鎖するなど、浮いた予算を近代化に振り向けている。
これは米軍も、軍拡を推進する中国もやっている。
因みに74式戦車が導入された翌年75年の防衛費は約1.34兆円。
対して本年の防衛予算は約6兆円であり、約4.5倍。
これを「横ばい」と強弁するのは無理がある。
そもそも自衛隊の整備予算や施設が他国の3倍から10倍の値段で装備調達している。
米国などの言い値だ。予算が亡くなるのは当たり前。
もう少し、軍事・軍備に詳しく解析できる人材はいないのか。
金さえかければ良いと思う大臣ばかりだ。
あまり言いたくはないが、
通常、国会では答弁するときは繰り返し自席から歩いて答弁台に移動し、立ったまま答弁する。
だが、この日岸信夫防衛大臣は、特別に設えられた席に座ったまま答弁を行った。喋るのも困難に見えた。
そういう人が防衛大臣で良いのか。
政府が真剣に取り組んでいるとは思えない。