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​大前研一「安倍氏、今日に残る成果は見当たらない」

「最長政権でも経済は低迷し、外交もアメリカに貢いだだけ」


大前研一氏「安倍元首相を冷静に評価しても、今日に残る成果は見当たらない。

最長政権でも経済は低迷し、外交もアメリカに貢いだだけ」

普通に現状を見ればそうなのだが、なぜか課題に評価する人もいる。‘@



プレジデント(抜粋)

安倍氏国葬か、国民葬か」と議論されていた7月19日、自民党茂木敏充幹事長がおかしなことを発言した。

立憲民主党などが国葬に反対することについて、「野党の主張は国民の声や認識とかなりズレている」と言ったのだ。

自民党が「国葬」にすると独断で決定したのに、国葬国民葬かは「国民の声」が決めると説明しているのは、

頭が良いはずの茂木氏にしてはロジックがおかしい。

自民党国葬に決定した理由について、「史上最長政権だった」「外交が国際的に評価された」などと言っているが、

基準が曖昧であり、結局は感情的に判断したのだろう。

安倍氏の政治家としての評価に関する今の報道を見ていて思うのは、

殺害のショックと政治家としての功績は区別して考えるべきだ、ということだ。



私が安倍氏を政治家としてまったく評価していないのは、

日本に最も必要な「痛みを伴う抜本的な規制改革」を何一つ進めなかったからだ。

一時的に失業の山を築いてでも、規制を撤廃して、衰退著しい日本の産業を立て直そうとしなかった。

むしろ、規制を固める方向に進んだ。



19、20世紀の古い経済学に基づいたアベノミクスも、高齢化し低欲望化した日本では成果は出なかった。

史上最長の安定した政権だったはずなのに、労働生産性が上がることはなく、

1人あたりGDPの世界ランキングは低迷し、日本人の給料も上がらなかった。

事件後の報道を見ると外交が高く評価されたといわれるが、

冷静に振り返ると今日に残る成果はあまり見当たらない。



例えば、トランプ前大統領とは先進国の中では唯一、趣味のゴルフで仲よくなったようだが、

日米関係は「イコールパートナー」というよりはむしろ、過剰にへりくだっていた。

現在のウクライナ情勢でも、「(プーチンと親しいんだから)出番だよ!」と外野に呼びかけられても、

これまでのプーチン氏との関係を役に立てようと動くことはなかった。



中曽根康弘氏でいえば、90年の湾岸危機のとき、外国人を人質に「人間の盾」を築いた、

イラクフセイン大統領(当時)に対して、

自らイラクを訪問して直談判し、日本人の人質74人の解放を実現させている。

安倍氏は、隣国である中国、韓国、北朝鮮との近隣関係でもまったく成果はなかった。

就任時に「優先順位が高い」と自ら宣言した北朝鮮による拉致被害者の返還問題も、成果は何もなかった。

金正恩総書記に会うトランプ大統領に依頼したことはあっても、自ら動くことはなかった。

以上、冷静に振り返れば、日本の外交にプラスになった成果など私は1つも思い出すことができない。

戦後の首相の中で国家への貢献が最も大きかったのは、安倍氏ではなく中曽根康弘氏だと思う。