ロシアのプーチンが、ウクライナ侵略の兵員を補充するため発令した部分的動員。
だが、強引な招集の実態が次々と明らかになっている。
動員は事前に練られていたようで、ブリヤート共和国にある人口約5500人の村では、
プーチンが部分的動員を発令したテレビ演説から数時間後の21日夜、
対象者宅の訪問を担当者が始め、翌日午前4時に集合するよう指示。
午前10時には男性約700人が、訓練施設に向け出発したという。
動員対象外のはずの大学生にも招集令状が渡された。
63歳で糖尿病などの持病も抱える退役軍人が、身体検査を受けずに招集。
動員を事前に察知した国民は国外へ退避、空港や車などの渋滞が起きている。
ロシア政権は予備役の男性を28日にも出国禁止にする方針。
政権は予備役の出国禁止をルール化することで、安定的に招集を進めたい考えだ。
しかし、動員に抗議する大規模デモが起きるなど社会不安が広がっており、
抑圧的な措置で国民は不満を募らせることになりそうだ。
プーチンは、ウクライナ侵略を職業軍人や「志願兵」だけが派遣される「特殊軍事作戦」と称し、
国民に関心を向けさせないよう腐心してきた。
反戦運動も厳しい情報統制と弾圧で抑え込んだ。
だが、身近な家族や同僚が強制的に戦場に送られることになれば、
プーチンや軍事作戦への支持にも影響を与える。
プーチンは、国内の安定維持という難題も自ら抱え込んだ形になった。