ワクチン接種後、免疫細胞の活性化を抑える働きがあるタンパク質「PD1」が高齢者は強く発現
新型コロナワクチンの効果が若い世代に比べて低いとされる高齢者では、
免疫細胞の活性化を抑える働きがあるタンパク質「PD1」が、ワクチン接種後、強く発現していることが分かったと、
京都大チームが12日、国際科学誌に発表。
一般的に免疫機能は加齢とともに低下する。
チームは、ファイザー製ワクチンを接種した20代から60代前半までの約100人と、
65歳以上の高齢者約100人を調査。
ワクチンの1回目と2回目接種の後に血液を採取して抗体の量などを調べた。
2回目接種後、免疫細胞の一種「ヘルパーT細胞」でのPD1の発現量は若い世代より高齢者で高かった。
PD-1は1992年、京都大学の本庶佑博士、本庶研の大学院生だった石田靖雅氏らにより発見された。
それが、本庶博士の2018年ノーベル医学生理学賞受賞につながる。
PD-1とそのリガンドである PD-L1との相互作用ががんの免疫逃避機構に重要な役割を果たしていることが世界で初めて証明された。
PD-1 は活性化したT細胞やB細胞、骨髄系細胞の一部に発現し、
免疫応答を制御する免疫のブレーキの働きをする因子の1つと考えられている。
2010年に PD-1抗体である「ニボルマブ」の臨床効果が発表され、2014年世界に先駆けニボルマブが認可された。
以降、PD-1抗体治療をはじめとするがん免疫療法はがん治療に革命を起こした。
他と比べれば副作用は少ないが出るものもあり、また全く無効である症例も存在する。
高価だが現在保険適用となっているがんもある。
研究が進み他の治療と併用するなど多くの臨床治験が進められている。
もしかしたら軽症の人にも治療できるようになるかもしれない。
そうすれば高齢者が亡くなる確率も下がる。