企業業績に明暗 製造業、相次ぐ下方修正。
2022年4~12月期の決算発表がピークを迎え、企業業績の明暗が鮮明となっている。
2022年4~12月期の決算発表で、自動車部品メーカーなど製造業は原材料高や半導体不足が響き純利益が低迷、
通期(23年3月期)見通しの下方修正が相次いだ。
一方、非製造業は経済活動の再開を受けて、航空やレジャー業界を中心に勢いが増している。
純利益は製造業が4.7%減だったのに対し、非製造業は17.2%増加。
通期の純利益は、製造業がマイナスを予想。
下方修正は化学や電気機器を含め125社と「例年に比べて多い」
トヨタ自動車は資材価格の高騰で、純利益が18.0%減。
日産自動車は営業利益は5割増だが原材料高騰は大幅な減益要因となった。
昨年10月の新型コロナ水際対策の緩和を受け、人の移動や娯楽などに関連したサービス業界の見通しは明るさを増している。
ANAホールディングスは通期の純利益予想を200億円引き上げ、600億円とした。
国内路線の需要は既にコロナ前の9割程度まで戻り、中堀公博上席執行役員は、
「水際対策の緩和で訪日旅客需要が回復し始めた」と手応えを語る。
東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドも高価格帯のチケット販売が好調で、通期業績予想を上方修正。
片山雄一副社長は今後、「抑圧されてきた需要が戻る」としている。
日本電産の永守重信会長は、「あらゆる取引先にモーターを供給する当社の業績が落ちれば、
他社の業績も落ちてくる」と語った。
非製造業は78社が上方修正し、プラスを見込んだ。
住友化学の岩田圭一社長は、「自動車向け合成樹脂などは中国の動向に影響を受ける。
需要と供給の両面を注視する必要があり、23年も楽観できない」と述べた。
「物価高に負けない賃上げは企業の責務」──。
こう繰り返してきた経団連の十倉雅和会長は、
自身が会長を務める住友化学が1日、今年3月期の連結業績予想を大幅に下方修正。
当期利益が従来の1050億円の黒字からゼロになると発表。
まさに、3カ月で1000億円が飛んだ。
賃上げの“旗振り役”の足元で、まさかの暗雲が垂れこめている。
これまで1株当たり12円としていた期末の配当金も、「未定」に修正。
十倉会長は経団連トップとして政府と一体になりながら会員企業に「物価に負けない賃上げ」を求めてきた。
業績不振を理由に賃上げができなければ、格好が付かない。
だが、いくら経団連会長の企業でも業績悪化の中、簡単に応じられる環境ではない
また、儲けがない状況で、コストである人件費を上げるのは株主の理解を得られない。
賃上げを実現できたとしても、上げ幅が少なければ、音頭を取った割にはとヒンシュクを買う。