英国とEUは27日、英国のEU離脱後も対立してきた英領北アイルランドの物流規則などを巡る問題で、
解決策に合意したと発表。
EUのフォンデアライエン欧州委員長が同日訪英し、スナク首相との会談で決着。
合意内容は英議会で採決される。
両首脳は共同記者会見で、英EU関係の「新たな章」の始まりだと胸を張った。
与党保守党の対EU強硬派が反発する可能性があるが、最大野党の労働党も賛成する意向を示しており、
可決される公算が大きい。
英国が2020年末にEUを完全離脱した際、EU加盟国のアイルランドと陸続きの北アイルランドに対し、
EUの通商管理下に残る規則が設けられていた。
英本土から北アイルランドへの物品移動に関しては、煩雑な検査と書類手続きの負担が、
EU域内向けに比べ軽減される。
北アイルランドから英本土への物流、ペットや小荷物の移動に従来課してきた条件も撤廃。
英本土だけでなく、北アイルランドに適用可能な付加価値税(VAT)と物品税の変更に関する英政府の決定権を認め、
英規制監督当局が承認した医薬品は、北アイルランドでも自動的に入手できるようにする。
さらにEUの物品規則の修正に北アイルランド議会が反対の意思を表明できるメカニズムも導入する。
EUとの緊張解消と関係改善を目指してきたスナク首相は、北アイルランド問題でEU側の譲歩を引き出した。
スナク首相は合意について、「英国全体の円滑な物流を実現し、連合王国における北アイルランドの地位を保全し、北アイルランド市民の主権を守る」と強調。
金融サービスや安全保障、科学研究、移民の各分野で、EUとのより緊密な協力に道を開くと期待される。