人の善意につけ込む、図々しい人たちが巷に増えている。
飲食店でテーブルに置いてある紙ナプキンを束ごと。
お一人様一点までが暗黙の了解である試供品をドラッグストアで棚にある限り持ち帰る。
ライターの森鷹久氏が、図々しい人たちに振り回されるトラブルについてレポート。
うどん・そば店をチェーン展開する企業でマネージャーを務める佐伯晋さん(仮名・40代)は憤りを隠さない。
「ネギや揚げ玉の取り放題サービスを、創業時から全店舗で行ってきました。
しかし最近、あり得ないような量を取っていくお客様が増えました。
以前にも、容器に入れて持ち帰る方がいて注意したりしたのですが、この数年でそういったお客様が増えた印象です。
ネギや揚げ玉をうどんの上に山盛りにして、ふざけた感じでスマホ撮影したあげく、ほとんどを残されたこともあります。
SNSでは、うどんやそばを頼まず、100円程度の白飯だけを注文し、無料の揚げ玉やネギをご飯の上に盛った”裏メニュー”を勧める投稿まであります」
いくら取り放題とはいえ、店側が想定している常識的な分量を超えるようでは運営に支障が出る。
さらに食べ物で遊んだり、大量の残飯を出したり、いくら客商売とはいえ、店側の堪忍袋も切れる寸前。
ついに我慢ならず、こうした客の多い一部の店舗で「取り放題」のサービスを中止することになった。
ところが、中止によって新たなトラブルを抱えてしまった。
「常連さんや一般のお客さんには、事情を説明したら理解いただけました。
しかし、電話やメールで”ケチ”だとか”二度といかない”といったクレームが入り、SNSにも同じような投稿がありました。
本音としては、そういう人々は客ではなく、単なる迷惑な人。来店されればされるほど赤字で、
お店の雰囲気まで悪くなるんですから。来るな、と言いたいのが本音です」(佐伯さん)
一部の悪質な客のせいで、店の「善意」であったサービスを受けられなくなった一般客も、ある意味では被害者なのかもしれない。
‘@以前から指摘しているが、ルールを守らない人が増えている。
それで迷惑を被るのは善意の一般の人たち。
コメンテーターなども、「法に触れていないから良いのでは」と平気で言い放つ。
細かいことを言い出すと生きづらくなると言うのは加害者派。
むしろ、ルールが守られず、結局は法が介入すると余計生きづらくなる。
森氏は、どんな場面でどうふるまうべきか、相手に対してどのように接するのが推奨されるのか、
明文化されずとも社会で共有されることも多い。
そうやって生み出されたコミュニケーションの前提を、受け取る側も感謝と配慮を忘れないのが、円滑な社会生活のための基本だろう。
都合の良い形で解釈され、図々しくなったもの勝ちだという勢力を抑えにくくなってきた。
そのためか、お互いに気を配りあって社会生活を送るのは無駄だという悲観的なムードも漂ってきた。
このまま息苦しい世の中を、日本社会は目指してよいのだろうかと、疑問を呈す。
そこで生まれたのがホリエモンやひろゆきし、古市し、若新しなどだ。
メディアが彼らを重用するから加速度的にルールを守らない、ご都合主義の人間が増えている。