西アフリカ・マリの軍政は17日、ロシアから複数の航空機を、トルコからドローンを受け取った。
軍政の暫定大統領を務めるアシミ・ゴイタ大佐が出席して式典が行われた。
空軍アロウ・ボイ・ディアッラ参謀総長は航空機約20機とドローン約10機を受領したと述べた。
AFP記者は、首都バマコの空港に航空機5機とドローン4機が駐機しているのを確認。
マリは昨年以降、複数回にわたってロシアから軍事装備品を調達。
今回受け取った航空機には、チェコが設計したL39アルバトロスも含まれる。
同機は訓練目的で設計されたが、攻撃機としても使われてきた。
ドローンはトルコ製のバイラクタルTB2で、偵察や監視任務が可能。
軍政のサディオ・カマラ国防相は、同機を投入することでより正確な砲撃や空爆が可能になるとの考えを示した。
マリはイスラム過激派との戦いを展開しているほか、政治的、人道的な危機に見舞われている。
また、複数の筋は、軍政がロシアの民間軍事会社ワグネルの戦闘員を動員していると指摘。
マリはロシアと軍事的・政治的な関係を深めている。
2022年3月、国連でのロシア非難決議を「棄権」した国の1つ、マリ。
かつてフランスの植民地で、独立後も強いつながりを保ってきたが、その関係が崩れロシアに急接近。
ロシアのラブロフ外相は2月7日に西アフリカのマリを初めて訪問。
続けてモーリタニア、スーダンなどを歴訪。
1月にも南アフリカなどを訪れており、2カ月連続でのアフリカ訪問となった。
欧米の対ロ制裁と距離を置くアフリカ各国と軍事・経済面での連携を深める狙いだ。
フランスのマクロン大統領が5日までの日程で中部アフリカ諸国の歴訪を続けた。
直前にアフリカに駐留する仏軍の縮小を表明。
対テロ作戦の失敗で旧宗主国としての影響力は低下。
西アフリカのマリに展開している欧州諸国とカナダの部隊は昨年2月に撤収を決めた。
部隊はイスラム過激派の武装組織掃討やテロ対策のため駐留していたが、
軍部が支配するマリ暫定政権との関係が悪化。
撤収に関する共同声明にはフランス、ドイツ、ベルギーを含む欧州15カ国とカナダなどが署名。
マリはロシア政府と関係の深い民間軍事会社ワグネルと契約を結んだとみられ、
西アフリカでロシアの影響力が強まっている。
アフリカを担当する米軍の司令官は、マリ暫定政権がワグネルと契約を結び、
「月に1000万ドル(約11億5000万円)を支払っていると考える根拠がある」と指摘。
ワグネルの要員はロシア空軍がマリに輸送しているという。
ただ、実際にはロシアが進出した後も、マリでは過激派の攻撃は減るどころか激しさを増している。
過激派対策は効果をあげていない。
西アフリカに展開する国際部隊は約2万5000人で、このうち仏軍が約4000人を占める。
仏軍は約2500人をマリに駐留させていた。
この地域では国際テロ組織アルカイダや過激派組織「IS」系の武装組織が活動する。
新型コロナの感染拡大で景気が悪化し、職のない若者がテロ組織に流れるケースが報告されている。
撤収はさらなる治安悪化につながる。
この地域に詳しいCIAの元高官は英紙フィナンシャル・タイムズに対し、
ロシアがマリ側に「フランスに反抗すれば統治の正統性と国民の支持を得られる」と助言している可能性を示唆している。
マリの隣国のブルキナファソはロシアの次のターゲットとも言われている。
ブルキナファソの ルアンバ外相は、
「ロシアを西側諸国と比べたがる人もいますが、私たちを助けようともしない人たちに、とやかく言われたくはありません。
この苦境から抜け出すためには、“とげのある枝”でもつかむしかないのです」と訴える。
貧困国の大半の国民は教育を受ける権利さえ保障されず、言われるままに分かったと納得するしかない。
現状を打破するのは難しく、ロシアが助けてくれると信じるしかないようだ。
そこに付け込むロシアや中国、世界の闇は解決できない。