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​​牛乳を捨て、コオロギ食。

食料安全保障推進財団の鈴木宣弘理事長。

「牛を殺せば助成金…政府に振り回される酪農家たち」


近年、日本の酪農業では、都府県における生産減少が続く一方、北海道での増産によって、生乳の供給を維持してきた。

牛乳余りどころか、ずっと不足が続いていた。

その状況下で、農水省は「畜産クラスター事業」を推進し、補助金を交付している。

機械や設備の導入時の本体価額(税抜)の2分の1が補助金として援助され、必要経費等を引いても実質40パーセントオフとなる。

この制度によって酪農の生産量が伸びた。

だが、新型コロナが発生し、自粛などによって生乳需要が減少したことで、乳製品在庫が積み上がった。

2021年学校給食が止まる冬休みに、大量の生乳が廃棄される懸念が生じた。

政府が「牛乳を飲もう」と呼びかけ、関係者が全力で牛乳需要の「創出」に奔走した。



そこで政府は酪農家に対して、「牛乳を搾るな」「牛を処分すれば一頭あたり5万円支払う」などと通達。

政府は「牛乳を増産するなら補助金を出す」としておきながら、手のひらを返して「牛乳を搾るな、牛を殺せ」と言う。

全国の酪農団体で構成する中央酪農会議は17日、国内の酪農家157人を対象に実施した、

経営実態の調査結果を公表。

84・7%に当たる133人が過去1カ月の牧場経営が赤字になっていると回答。

このうち4割超に上る58人が、1カ月の赤字額が100万円以上だと答えた。

飼料高など生産費の上昇による厳しい経営状況が浮き彫りになった。

1カ月の赤字が2千万円という牧場もあった。

離農を考えることが「よくある」「たまにある」との回答は、合わせて全体の58・0%に当たる91人に上った。

(みんかぶマガジン)



‘@政府のちぐはぐな政策は酪農家を苦しめている。

コオロギを食用に推進するよりも他にやることがある。

無くなってから慌てても手遅れだ。

国はバターが不足したので、生乳生産の増加を後押しした。

しかし、新型コロナによる需要減少で供給過剰となり、脱脂粉乳の在庫が増加。

政府は生乳13.7万トンに当たるバターや脱脂粉乳を最低輸入義務としている。

専門家らは、輸入を止めれば、減産しなくて済むと訴える。

生乳価格は2006年以降大きく上昇した。2006年に比べると2022年は45%も高い。

農林水産省「農業物価統計調査」から。2022年には、さらに100円引き上げられた

北海道の生乳の生産量は、バター不足が問題となった2014年の381万トンから2021年は427万トンへ増加している。

最近まで酪農経営は極めて好調だった。



酪農家の平均所得(収入からコストを引いたもの)は2015年から2019年まで1000万円を超えて推移。

最も高かった2017年は、酪農家の平均で1602万円で。

この年100頭以上の牛の乳を搾っている階層は、北海道で4688万円、都府県で5167万円の所得を上げている。

国民の平均所得の10倍以上。

つまり、トウモロコシの国際価格が上昇するまでは、酪農経営は数年間バブルだった。

そのバブルが昨年はじけた。

酪農家が、輸入穀物が安いときは黙って利益を得、高くなると国民(税)に助けを求めるのは、フェアではない。

価格変動がある輸入飼料依存の経営を選択したのは酪農家である。

これに補てんするのは、株式投資で失敗した人に損失補てんするのと同じである。

商店の店主も、国に補償を要求したことはない。酪農家だけが特別扱いを受ける根拠や理由はあるのだろうか?

「増産と減産を繰り返したくないなら、一定量のバターの輸入を認めるしかない。

農林水産省が悪いのではなく、自らの政治活動が生乳廃棄、減産を招いた」と。

今回、政府、酪農団体、乳業メーカーが基金を作って、

乳業会社が安値の海外産の脱脂粉乳を国産に切り替えたり、国産の脱脂粉乳を安く輸出したりする際には、

それらの取り組みによって生じる海外品との値差を基金から補填するようにした。

これは明らかに、WTO世界貿易機関)が禁じている国産優遇補助金と輸出補助金である。

酪農団体に限らず、農業界には苦しくなれば政治家や国に救済を求めるという体質が定着している。

それが、さまざまな影響を生じることを認識しないのは残念だ。