Military Africaは20日「露防衛産業の世界シェアはウクライナとの戦争で低下したものの、
アフリカ市場(MENAを除く)においては過去5年間で最大の勝者となった」と指摘。
競合関係にあった中国を追い越したと報じた。
アフリカ諸国と締結した契約を履行し続けているため、今のところロシアのシェアと影響力に問題が生じていない
MENAを除くアフリカ全体の武器輸入量は23%減少したが、クーデターや情勢が不安定な国では武器輸入が増加。
この需要と影響力の拡大を巡ってロシアと中国の争いが激化し、
「両国は信じられないほどの外交官をアフリカ大陸に派遣している」とMilitary Africaは指摘。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のデータによると、アフリカ市場で最大の勝利を収めていたのは中国で、
2013年~2017年の武器輸入量に占める中国のシェアは26%だった。
だが2018年~2022年は18%に転落、同じ期間にロシアのシェアは26%に上昇したという。
SIPRIは「ロシアはウクライナとの戦争で22%から16%に世界シェアが低下したが、
アフリカ市場においては過去5年間で最大の勝者となった」と指摘。
MAも「ロ防衛産業は戦争の影響で、やがて自国向けの需要を満たすため、
海外からの注文を捌ききれなくなり、ロシアの伝統的な顧客は他の競合に目を向けるか、国内調達に切り替えるかもしれない。
しかしロシアはアフリカ諸国と締結した契約を履行し続けているため、まだその様な事態に陥っていない」と指摘。
戦争の影響が出始めた2022年もアフリカ諸国と締結した契約を履行しているため、
「今のところロシアのシェアと影響力に問題が生じていない」としている。
さらに興味深いのはロ防衛産業の昔からの顧客インド。
インドはロシアからウクライナ侵攻の影響で懸念されたS-400の引き渡しも契約通り履行し、
昨年10月に第3バッチ分の出荷も行い「ロシアからの武器輸入に何の問題もない」とアピール、
2月にインドで開催されたエアロ・インディアには参加国最大のブースと武器を出展し、ロシアの影響力を誇示した。
ブラモスはインドとロシアの合弁企業「ブラモス・エアロスペース」が開発したもので、
インドで生産されるブラモスはフィリピンへ輸出。
インドネシアやベトナムなど東南アジアへの輸出も噂されており、
収益の一部は最終的に合弁企業からロシアに還元されるが、
技術移転を行い現地開発されたブラモスはインド製兵器なので制裁の対象外となっている。
サウジアラビアもロシアと共同でAK-103の現地生産を開始する予定で、
技術移転と現地生産は見かけのシェアを低下させても西側の制裁を回避しながら、
収益と影響力を維持する手段として有能だ。
ウクライナ侵略の影響でロシア製の武器は直ぐにダメになるという発想はやや短絡的で、
全体的なシェアは低下する可能性が高いが、まだロ防衛産業が生き延びる可能性はある。
‘@BRICSのGDPは、2016年は世界のGDPの23%であったものが、2026年には32%に拡大すると予想。
G7は2000年時点では世界のGDPの実に65%を占めていた。
しかし、2020年時点では46%、2026年には42%まで低下する見通し。