宮崎県では東京ドーム約155個分の“普通の山”が購入されている。
「ソーラーや風力発電は、クリーンエネルギーですから」「温暖化防止のために、何としても進めなければなりません。
そんな美辞麗句の裏で、外国資本による再生可能エネルギー名目の土地買収が日本各地で起こっている。
外国資本の国土買収を追いかけて15年になる平野秀樹氏の著書『 サイレント国土買収 再エネ礼賛の罠 』(角川新書)の一部を抜粋。
2022年9月、北関東の田園風景の中、農道を走っていると青空に映える看板が所々に立っている。
「畑・田買取ります」
「連絡をおまちしております」
青地に白の文字で目立つデザイン。
地元の農業関係者は「あの青い看板は中国。3年前からあるよ」
「土浦で断られたからここに来たらしいよ。(買収の)お金を出してるのは、大阪の人だっていう話だよ」
おそらく、北海道を除けば全国一広い一団の森林が外資系に買収された事例が、都城市安久町(やすひさちょう)。
その広さ717ヘクタール(東京ドーム約155個分)。スギのまだ若い人工林が2~3割交じった林業的には普通の山だ。一体何に使うのだろう。
「現地はそのままですよ。ここ5年以上何も変わっていない」
「標高が高くて、見晴らしがいいというわけでもないし……。林業以外に使い道はあるんでしょうか」
地元林業関係者も首をひねる。700ヘクタールという数字の大きさだけが魅力なのか。それとも何か別の用途でもあるのだろうか。
もしここを開発してソーラー発電所にしようとしたら、これまで得た林業補助金を返還しなければならない。
植林、下刈り、除伐、間伐のときに、支払われた国・県からの林業補助金が何千万円も投入されているからだ。
そんなことまでしてソーラーにする者はいまい。
南西諸島周辺の防衛対応力を高めるために、最新鋭ステルス戦闘機のF35Bが、
当地の北東方向40kmの航空自衛隊新田原(にゅうたばる)基地(宮崎県新富町)に24年配備される予定なのだ。
そんな立地の用途がよくわからない広大な山林が、保有目的も不明なまま中国系資本の所有になっている。
当地の転売はつづいていて、14年、15年、21年と所有者は変わっているが、いずれも外資系と見られる法人同士(福岡市)による転売である。
当該地は宮崎県の水源地保全条例の対象エリア内なので、林地売買に際しては事前届出が必要であるが、事前には、届け出がなされていなかったようだ。
彼らによればこのところの買収の特徴として、海岸周辺の需要が増えているという。
風力発電のためだ。私もかねてピンポイントで各地の海岸部を欲しがっているグループがいると見ていた。
欲しがる理由として考えられるのは二つ。
一つ目は、防衛上不可欠なレーダーがもつ機能を電磁波によって低下させようという狙いだ。
風力発電装置を使って妨害する。これは決して私の思いすごしではない。
防衛省は「風力発電設備が自衛隊・在日米軍の運用に及ぼす影響及び風力発電関係者の皆様へのお願い」
(2022年4月28日)という通知を風力発電事業者向けに出している。
悪影響を及ぼす風力発電設備が各地に敷設されていくことを警戒している。
二つ目の理由は、海底ケーブルがらみである。
今日、海底ケーブルは国際通信の重要インフラになっていて、世界では国際データ通信の99%が海底ケーブルを通っている。
いわば国家の生命線だ。データの安全性やリスク回避を徹底するなら、海底ケーブルと通信のデータセンターは物理的に安全にしておかなければならない。
そういった重要インフラに関心をもつグループがあるのではないか。各地でそれを押さえにかかっていることが複数の登記簿からも読みとれる。
情報収集を任されている地上げ情報担当の一人はこう説明してくれた。
「海岸線に近い用地を頼まれたら、海底ケーブルの陸揚げ局も意識して、そこが必ず入るよう土地を買っていきますよ」
‘@日本大丈夫か!