日本では、他人の外見、とりわけ病気による外見をジョークのネタにした、
ロックへの怒りが強いように見受けられる。
だが、アメリカではそこへの抵抗は薄い。
コメディアンらは一斉にロックへの支持を表明したし、この出来事の後、
ロックのショーのチケットの値段が高騰したことを見れば、
一般人の多くもロックの味方であることがうかがえる。
なぜなのか。ロックが言ったジョークは、悪趣味かもしれない。
しかし、強者が弱者を笑うものではないからだ。
もしロックが白人だったなら、彼は大バッシングを受け、しばらく仕事を干されることになったはずである。
アメリカではここのところがとても重要だ。
黒人が白人をからかうジョークは問題ないが、逆は絶対にだめ。
だが、権力と富がある人、たとえば政治家やセレブリティーは、思いきりネタにしてもいい。
いや、コメディアンからネタにされることを許容できないなら、
政治家やセレブリティーになるなと言っていいくらいだ。
イギリス人コメディアンのリッキー・ジャーヴェイスも、
本人がいる前で大物セレブを容赦なくネタにするのが大得意だ。
2020年のゴールデン・グローブ授賞式では、ジョー・ペシをベイビー・ヨーダと呼んだり、
マーティン・スコセッシの身長をネタにしたりしている。
テレビに映る表情を見るかぎり、そういったジョークに抵抗を持ったセレブも明らかにいたが、
ジャーヴェイスは「ただのジョークだよ。それを忘れないで。僕たちはみんなすぐ死ぬんだから」
と言いつつ、遠慮なく続けた。
‘@黒人が白人をからかうジョークは問題ないのに、米国では、なぜ白人が黒人を差別するのか。
コメディアンは米国で唯一すべてに対してジョークを許されると言う話も聞いた。
しかし、それを日本が真似る必要もないし、日本が間違っていると非難を受ける必要もない。
人は誰しも平等で、誰しも身体的なことや病気、
本人が嫌がることを揶揄するようなジョークを言うべきではない。
米国がすべて正しいとするのなら言語道断だ。
風刺で殺戮や暴動、自殺も起きている。