冬を代表するオリオン座の1等星「ベテルギウス」に異変が起きている。
昨秋から急激に暗くなり、明るさが3分の1になった。
もともと明るさが変わる変光星ではあるものの、過去50年で最も暗い。
すでに寿命を迎えている不安定な星で、いつ超新星爆発が起きてもおかしくない。
ベテルギウスの表面は一部だけ明るく、形がひずんでいるのがわかる。
ベテルギウスは、オリオンの右肩でオレンジに輝く星だ。
重さは太陽の約10倍。活動が激しいため、すでに内部の燃料をほとんど使い果たしている。
最も明るい時は21ある1等星のうちで6~7番目に明るかったが、いまでは最下位に転落。
いまもなお暗くなり続けている。
2020年2月には1.6等星にまで暗くなって、オリオン座の1等星がリゲルだけになってしまったと騒がれた。
また、2023年11月には光度曲線が突然に平坦になってしまい、これも話題になった。
予測困難な光度変化を見せるベテルギウスが、2024年になって急速に光度を落とし、1月初めから2月末までの2か月間の間に0.4等から0.7等まで暗くなった。
ベテルギウスまでの距離は約700光年で、天の川銀河のなかでもかなり近い。
もし爆発したら、地球からはマイナス10等ほどの半月に近い明るさで見えるという。
青白い輝きは数カ月間、昼でも確認できる。その後、徐々に暗くなり、5年もすると目では見えなくなる。
見慣れたオリオン座の形は崩れる。
年老いて膨らんだ大きさは太陽の約1千倍。もし太陽系にあったら地球や火星ものみ込み、木星のあたりまで達する。
太陽が今後、数十億年かけてゆっくりと燃え尽きるのに対し、燃料が燃え尽きた瞬間、自分自身の体を支えられなくなって暴走し、大爆発する。
激しいガスの衝撃波やガンマ線、X線などをまき散らしてまぶしく光る超新星になる。あとには極めて重く小さい星か、ブラックホールが残る。
ベテルギウスの寿命が尽きるのがいつか予測することはできない。明日か、5万年後か、10万年後か分からないが、
多くの専門家はベテルギウスの超新星が地球に重大な影響を及ぼす可能性はほとんどないと指摘。
仮にベテルギウスがすぐに爆発しても遠すぎて影響は小さいとの見方を示している。