新型コロナウイルス禍で各地でイベントが中止される中、
祭りや縁日で親しまれてきた「型抜き」が苦境に立たされている。
「国内唯一」とされる型抜きメーカー「ハシモト」(大阪市西成区)では売り上げが半減。
イベント需要の回復も見通せず、ハシモトの3代目社長、橋本健司さん(48)は、
「このままでは型抜きの文化を守れない」と危機感を募らせる。
型抜きは、砂糖にでんぷん、ゼラチンなどを加えて作る板菓子に型押しされた、
花などの絵柄を画びょうの先などでくりぬく遊び。
割らずに成功すると景品がもらえ、全国の祭りの出店で親しまれてきた。
橋本社長は「正確に把握するすべはないが、製造しているのは、国内では恐らくうちだけ」と話す。
家族4人にパート従業員を加えた計9人で、ほぼ全てが手作業の工程を担う。
薄くのばした生地に絵柄を刻む型押しの工程は高い技術が必要で、健司さんだけが担当する。
同社が型抜きに目を付けたのは1960年ごろ。
紙芝居屋が子どもに売るアメを製造していた先々代が、
東京で型抜きが流行しているのを知り「アメより売れるんちゃうか」と、
作り方の研究を始めたのがきっかけだという。
紙芝居屋に型抜きを卸すと、飛ぶように売れ、同業者も増えた。
だが、テレビの普及とともに紙芝居屋は続々と廃業。
売り先を失った型抜き製造業者も次々と撤退した。
新たな市場を開拓しようと露天商に売り込んだところ人気が爆発。
祭りの花形となり全国に広まった。
販売の主軸を失う一方で、スーパーなどで販売される家庭用商品の製造で経営を支える。
家庭用の型抜きは「あくまでも練習用」と表現する橋本さん。
「コロナが終息したら、縁日の出店や駄菓子屋で型抜きに挑戦してもらいたい。
早く明るい話題が聞こえてくるとええけど」と微笑んだ。
‘@集中力が付きそうなので、幼稚園・保育園や小学校などでも利用してはどうだろう。