第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」会期前競技の,
オープンウオータースイミング(OWS)が水質悪化で中止となった。
市貝町の塩田調整池特設会場には10日、出場予定だった他県選手や、
来年以降の国体開催県関係者などが訪れ、中止を惜しんだ。
(入野正明町長)
沖縄県代表の3人はこの日午前、会場を訪れた。
アオコで緑色に染まった水面を揺らすと、緑のペンキのような水が跳ね上がった。
選手は「気持ち悪いね」「ここまでひどいと思わなかった。泳げといわれても泳げない」
「何か方法はなかったのか」と驚きと落胆の表情を見せた
前日の水質検査で「毒性はない」とされたというが、とても泳げそうに見えない。
山城勇将(やましろゆうすけ)監督(34)は「何しに来たか分からない。残念というしかない。
8月末から状況は分かっていたと聞いた。どうにかならなかったか」と表情を曇らせた。
海で2回の合宿を経て今季この大会だけに懸けた努力が無駄になった。
2026年開催の青森県準備室の福田克佳さんは、
「準備の規模や仮設設備の状況だけ見て帰る。でもなんでここを会場にしてしまったのか」と首をかしげた。
塩田調整池はかんがい用水のダム湖。人工湖での国体開催は過去になく、県内で公式戦を行うのも初めてだった。
水量の確保は調整池を管理する芳賀台地土地改良区(理事長・入野正明(いりのまさあき)市貝町長)が担うが、
競技向けの水質管理は行わないという。
だが町教委事務局国体推進室の渡辺隆憲室長は、
「結果的に町の水質管理が甘かったと言われれば受け止めざるを得ない」と話す。
管理責任はどこにあると言うのか。
入野町長は、毒性のある植物プランクトンが含まれる可能性もあり、
「選手の健康に関わる」と断腸の決断に至ったとしたが、断腸の思いは選手やその関係者だ。
なぜ、もっと早い決断が出来なかったのか。
選手たちは例年より厳しい環境の中、新形コロナ禍を乗り越えここにやって来た。
あり得ない失態だ。