東南アジアのタイの奥地に暮らすある少数民族が、“最初の日本人”の「親戚」とも言える存在であることが近年のDNA解析から判明。
タイ南部、マレーシアとの国境近くに位置するパッタルン県。
マニ族はその山間の奥深くに住み、現地で“森の民”と呼ばれている。
数千年にわたり、外部との接触を絶ってきたと考えられている。
しかし、森で食料が取れなくなったため、4年ほど前に山の近くの村におりてきて、いまは現代文明と関わりを持ち始めたという。
現代の日本人とは姿も生活様式も全く異なるマニ族が、なぜ“最初の日本人”の「親戚」と言えるのか。
この両者を結びつけたのが「古代DNA解析」と呼ばれる、2022年のノーベル生理学・医学賞に選ばれた革新的な技術。
長い間、土に埋まっていた骨からは、これまでDNAを読むことが出来なかったが、この技術が確立されたことで、
保存状態のいい骨に関しては数千年前の骨であってもDNAを読み取ることが出来るようになった。
そのため、従来では考えることもできなかった様々な事実がこの10年で次々と明らかになってきている。
20~30万年前にアフリカで誕生した人類は、6~7万年前にアフリカを出た。
ヨーロッパ方面へと向かったグループや、ユーラシア大陸を北まわりで移動したグループもいたが、
”最初の日本人”のルーツになったのは東南アジアへと向かった「南まわり」のグループ。
4~5万年前に東南アジアにたどりついたグループは、そこでホアビニアンになった集団と、さらに海岸沿いを北上した集団に分かれた。
そして、北上した集団が、今から3万年以上前に日本列島にたどりついたと考えられている。
東南アジアではその後、北から農耕民族が流入しホアビニアンのDNAは失われていった。
そんな中、マニ族は外部との接触を絶ち続けたため、奇跡的にホアビニアンのDNAを色濃く受け継いでいると考えられている。
一方、日本では海で囲まれていたこともあり、アフリカから大陸を経てやってきた古いDNAの形質が「縄文人」として、残っていった。
NHK「フロンティア」抜粋