名古屋大と中国・福建農林大の研究チームは、受精できないようにしたイネの変異体が、
通常の米粒の代わりにショ糖を含む液体を生成することを発見。
植物の種子が育つには、花粉に含まれる精細胞が卵細胞に受精することが必須と考えられてきた。
福建農林大の笠原竜四郎教授らの研究チームは2016年、受精しなくても種子が肥大することを、
シロイヌナズナの遺伝子変異体で発見していた。
笠原教授らは、同じ働きの遺伝子をイネでも発見。
ゲノム編集技術を用いて実験を行い、イネが受精に失敗すると胚珠が肥大し、
ショ糖が98%含まれる非常に高純度な砂糖水を生成、
デンプンを合成する酵素をつくる遺伝子が働かず、通常の米粒を作れないことも分かった。
笠原教授は「トウモロコシやコムギなど他のイネ科植物にも同じ遺伝子がある。
これらの作物を改変できれば、亜寒帯から熱帯までの広い地域で、
高効率、高純度の砂糖生産が可能になるのではないか」と話した。
製糖やバイオエタノールの生産拡大が可能になると考えられている。
作付けされずに放置された水田を利用して砂糖イネを生産することで、
日本の農業生産力の向上も期待できるという。
また、このイネは世界の広い範囲で栽培できると期待を寄せる。