河野大臣は総裁選で、「みなさまを、みなさまと」を繰り返し述べるが、
「ぬくもりのある社会」を訴える人の言動がこれか。‘@
前田雄大
簡単に言うと、官僚が河野大臣に説明をした、
その説明に納得がいかなった河野大臣がイライラを募らせた。
最後に厳しめな言葉を言った、そのやりとりが録音されており、文春が入手。
「河野大臣によるパワハラ」という形で世に送り出したというものだ。
そもそも36~38という数字だけで相当大変だったわけで、そこに「以上」なんてつけた日には、という話だ。
河野大臣の「以上」という言葉の定義が分からないわけではないのだ。
さて、この心理を踏まえた上で、どういうやりとりだっただろうか、筆者が補足をしよう。
河野大臣「36~38という数字、これ、もうちょっとどうにかできんのか」
経産省「こちら、積み上げてきたものでございまして、36~38が精一杯でございます」
河野大臣 「本当にそれだけか。この数字じゃ恥ずかしいぞ。どうにかならんのか」
経産省「こちら積み上げでございまして、上限目いっぱいで出させていただきました」
河野大臣「でも、再エネは主力電源化するんだろ。2030年以降も、再エネ比率は増大する考えなんだよな」
経産省「はい、そのとおりでございます」
河野大臣「じゃあ、仮に日本の脱炭素が順調に進展して、36~38を結果的に超えたとしても、それはいいんだよな」
経産省「はい、喜ばしいところでございます」
河野大臣「だとしたら、程度ではなくて、以上という言葉がいいだろう。36~38以上にしよう」
経産省「いえ、大臣、36~38が積み上げギリギリでございますので、程度でお願いします」
河野大臣「いや、ギリギリということは、36~38までは行くということだろ。
俺は「36~38より大きい」とは言ってない。36~38を含む「以上」という言葉なら、君らの説明にも合致するはずだ」
経産省(内心、いやぁ、36~38はいかないんだよと思いながら)「ですから、積み上げが36~38でございますので、程度でお願いします。
(河野氏はなおも説明しようとする小澤氏の発言を遮り、ドスの利いた声でこう怒鳴った。‘@)
以上の言葉の定義も分からんのか。日本語分かるやつ連れてこい」
(河野大臣の“ダメ出し”は、13回に及んだ。
同じことを繰り返すのは、河野大臣の得意技のようだ。‘@)
これで分かっていただけたのではないか。最後の河野大臣の言い方は置いておいて、極めて自然な流れだ。
‘@言い方が問われているのに言い方を置いたら話にならない。
相手は丁寧な対応をしているのに、河野大臣が怒鳴りつけたのは間違いない。
河野大臣の慇懃無礼さは、枚挙にいとまがない。
元部下の前田氏も、36~38は相当大変だったと認識している。
そもそも、河野大臣の言う36~38以上という日本語は成り立つのか。
普通は、36以上、38以上ではないのか。
3人から5人以上と言う日本語は聞いたことがない。
以上と言うのは、こういう場合はそれ以上と言う意味だ。
俺は「36~38より大きい」とは言ってない。36~38を含む「以上」という言葉なら、
君らの説明にも合致するはずだ」と言う意味が分からない。
それより前に述べたことについての、以上ですの以上なのか、
以上の通りですの以上なのか。
それでは、理屈が通らない。
また、前田氏が言うように、流出とパワハラは別問題だ。
しかし、政府が騒いでいないところを見ると脛に傷もあるのだろう。
少なくとも2人は河野大臣肝いりの人事のようだ。
コメンテータなどが言うような、経産省VS河野の大きな争いではないだろう。
前田
その説明していたテーマというのが、脱炭素の方向性を決める「エネルギー基本計画」だった。
文春によれば、会議には河野氏のほか、内閣府の山田正人参事官と、エネ庁の山下隆一次長、
小澤典明統括調整官の3名が参加していたとのこと。
そして、文春が入手した音声には河野氏が山下氏と小澤氏を、
大声で怒鳴りつける様子が収録されていたとのことだが、なぜ河野氏は怒ったのか。
河野氏は脱炭素推進派。再エネ比率を上げるべきとの考えを持っている。
それに対して、経産省は、基本的にできない目標を掲げることには慎重。
かつ、それとは別に、再エネには後ろ向き、
石炭火力・原子力を推進したいという傾向があったというところはこれまでにも解説してきた。
今回、この再エネ目標をめぐってやり取りがあった。
原案では、再エネ比率は36~38%程度という形で「程度」となっている。
そもそも36~38という数字だけで相当大変だったわけで、そこに「以上」なんてつけた日には、という話だ。
しかし、そもそも、この報道には、このやり取りの是非以前に大きな問題がある。
もはや脱炭素以前の問題として、大臣と官僚のやり取りが録音され、それが流出していることが問題だ
公文書管理法があるので、このリモートでの大臣とのやりとりが記録されたこと自体は、
それが「公文書」であるとの位置づけで、保管されたことについては、説明がつく。
それを流出させていいのか、これはまったく別の問題だ。
これは、国家公務員法違反事案じゃないかと個人的には思うところだ。
公文書破棄は自公政権の十八番。破棄、改ざん、隠ぺい。
平井大臣も公文書を記録していない。